ワザップ!フォーラム
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ハイ、どーも、こーどさん(さんは付けなくても良い)です。
我が座右の銘は「ペンは剣より強い?なら、銃はペンより強い」と「一人殺せば殺人者、何百人も殺せば英雄になる!」
つまりはアブナイ人ですねww
プサイさんへ、ZER4の出演を許可して頂きありがとうございます。
プサイさんのBIOHAZARD IN CSO 小説版
/thread/BIOHAZARD IN CSO/396988/
ZER4!登場!
そして、最初に出てきた時より設定が崩壊している件。
ゲシュペンストじゃ、「幽霊」なのでノスフェラト・ナイツ、和訳すると「不死身の騎士達」(うろ覚え)に修正。
ジーナとミラのイラストを募集します!下手でも送ってもらえれば嬉しいです!
http://www.fastpic.jp/images/245/9584620533.jpg
俺の中のミラ像だよ。絵下手ですまんね。あと、カメラが低スペックですまんね
yowanetohonne☆yahoo.co.jpまで!(☆を@にしてください)
こーどさん(さんは付けなくてもよい)の作品リスト
第一作目
/thread/ドラゴンスレイヤー!/396244/
初の三人称視点作品
/thread/ハイパー学院/397035/
短編集
/thread/im not fool 「私は馬鹿じゃありません」/397718/
ある一人の兵士の日誌。
第一章「Escape & Lost」
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2009/07/26
この日誌は恐らくは誰の目にも止まらずに消えるだろう。
だが、それでも、この日誌を残す。
娘の朝飯を作り、学校に送ってから会社に行く。
それが私の日課だった。
妻が事故で死亡して、私が娘の世話をしていた。
今は7歳。
私は28歳。
3年前まで私はSWAT(スワット)の特殊潜入部隊、部隊長に所属していた、たまに突撃部隊の援護にも加わる事もあった。
笑えるよな、妻を守れない奴が部隊長だなんて。
妻が死んでから、一週間でSWATを辞めた。
もう銃は持たない、娘を近くで守ると決めた。
決めた筈だったのに……
——対テロ特殊部隊θチーム隊長インコム(注コードネーム)の日誌より抜粋。
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70まで行ってようやく思い出した。
この小説はフィクションです。
実在の国、団体、人物等々などとはまったく、一切、微塵も、関係ありません
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2010/07/09
私の名前はレジィ・ボーダル、年齢は20歳
階級は少尉
コードネームは「ブレイズ」
本日付で対テロ特殊部隊、θチームに着任された。
隊長命令でこの日誌を書いている、意味は無いらしい。
着任直後、私は隊長に話を伺った。
彼はブレイズシティーの生き残りだと言う。
ブレイズシティー
幼い頃、住んでいた町だ。
ブレイズシティー(輝く都市)とはよく言った物だ、今では輝きは欠片も感じない。
今から1年前、ブレイズシティーで町一つ消える程の大きな事件が起きた。
死者12万人以上。
行方不明者5万人以上。
そんな大惨事の中、生きて脱出できただけで、表彰物だ。
ウィルスがばら撒かれ、人がドンドン、ゾンビ化していった。
隊長は自分が体験した事件……いや、恐怖をありのまま喋った。
対テロ特殊部隊、θチーム隊員ブレイズの日誌より抜粋
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——分かった、全て話そう。
「パパぁ〜」
手を振る、少女。
父親に向けてだろう。
その父親らしき男が。
「シェリー、行ってらっしゃい」
手を振り、返す。
男の名前は、アーノルド・シノン。
それなりに美形で、髪の色は茶色で長く、後ろで一つに纏めている。
その娘の名前は シェリー・シノン
少し茶色いプラチナブロンドの髪で、短め。
親の遺伝か、それなりに美形。
SWTAに所属していたが、妻が三年前に交通事故で死に、それから間も無くSWTAを辞めた
「さて、仕事に戻るか」
彼は小説を書いて生計を立ている。
SWTAの経験から、それを文章に変え、出版社に持ち込んだところ。
「これは素晴らしい! 若者はこういうエキサイティングな小説を求めている、君はそれを十分知っている! いやぁ、若い作家というのは若者の求めているのがよく分かっている」という事で、出版された。
担当の思惑通り、その小説は高く評価され、それなりに不自由ない暮らしを手に入れた。
今は次の作品の執筆に励んでいる。
「次はどんな作品にしようか……」
ペン回しをしながら考える。
「う〜ん……」
ピンッと閃き、ペンを走らせる。
「テロリストVS対テロ部隊の話にしよう」
どういう話を作ろうかと決めた途端に話が沢山作れると言うのは一種の才能でもある。
日記も、彼が小説のネタを考えるのに始めた物で、日記を書いてる途中に話が思い浮かび、朝まで書いているという事もざらではない。
根っからの小説家であった。
「よし! テロリストはひとたびばら撒けば、一つの都市を滅ぼせる程のウィルスを開発する、それを阻止するために主人公はテロリストのアジトへ向かう」
そして、物語がクライマックスに差し掛かり。
「部隊は壊滅状態、残るは自分とベテランの二人だけ、しかも無線が壊れてしまい、本部は全滅と判断、爆撃を決行する」
クライマックスの筋道が立ち。
「そしてついにウィルスを滅菌に成功する、しかし、まだやる事が残っていた、本部に自分達が生きている事を知らせなければならない、ギリギリで知らせる事が出来たが、時既に遅し、ミサイルの一発目が発射された、容赦なく、アジトに直撃し、爆発」
ずどーん
そして、爆発が起きた。
「え!?」
爆風なのか、ビリビリと衝撃が自分に伝わるのを、感じた。
ヒューーッ どん!
隣の家が爆発する
「うわ!」
急いで、隣の家の人の救助に向かう。
「大丈夫ですか? 奥さん! 大丈夫ですか?」
——何が起きて……
倒れている人間の首に手を当てる。
「脈が……無い……」
倒れこむ。
「! シェリー! シェリーを探さないと……」
その時、先ほど、脈が無かった貴婦人が起き上がる。
「おく……さん?」
「う……ウガァ!」
危機感を覚えた彼は咄嗟に回し蹴りを行う、足を狙うつもりが、首に当たった。
ボキリ
首の骨が折れる音。
「あ……」
しかし、それでも起き上がる。
「何で!?」
もう一発、今度は容赦なく、頭を狙った。
そして、首が飛んだ。
そうやって、ようやく動きが止まった。
「ハァハァ、久しぶりに……ハァ…回し蹴りを使った……」
更なる危機感を感じ、家から、護身用の拳銃と銃弾を取り出す。
あと、果物ナイフを二本。
「これを使わないように願う……」
車のエンジンをつけ、速度制限などお構い無しに、学校へ向かう。
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___________________
2009/07/26 PM14:05
最悪だ、見たくない物を見てしまった、食い散らかされた死体。
しかも、女の子の……
死体を見るたび、気が狂いそうになった。
だが、30人を超えた辺りから、食われている途中の死体ですら、慣れてしまった。
ゾンビも、お構いなく轢いていく。
速度を80キロオーバー、もはや走る弾丸だ。
そして、車を猛スピードで走らせること五分。
学校に着いた。
そこでも、嫌な物を沢山見たよ……
対テロ特殊部隊θチーム隊長:インコムの日誌より抜粋。
_____________________________
「シェリー! シェリー!」
声の限り叫ぶ、そうでもしないと最悪の結末のプレッシャーに押しつぶされそうになる。
ピリリリリリリリリ!
携帯電話が鳴る。
「シェリー!?」
「パパ? 今どこに居るの?」
震える声で聞く。
「学校の門の前だよ、今から助けに行くから、待ってろ」
「う、うん」
——良かった、生きていた。
一つの希望が見つけれた。
「シェリー!シェリー!」
どのクラスも、食い散らかされた死体が散乱している。
「ウガァ」
「うわ!」
咄嗟に果物ナイフをゾンビの首に刺し込む。
「グェ」
だが、それでも止まらない。
「クッソオオオ」
そのまま、首を切断する。
「ハァ、ハァ」
一本、果物ナイフが使い物にならなくなった
「シェリー!」
「パパァ!」
——何とか、合流できた。 後はこの街から、脱出するだけだ。
「パパ……」
怯えた目で、アーノルドの腰にぶら下げてる物を見る。
「………」
目を伏せる。
「パパ……撃って無いよね?」
「ああ、人には……」
ここまで来るのに、10体ほどは殺した。
「行こうシェリー」
シェリーを車に乗せる。
「シートベルトしたか?」
「うん……」
——怯えるの無理ない。
「大丈夫、パパがついてるから」
根拠も無い、だが、娘を無理に怖がらせて、生き残る確率を下げるよりはマシだった。
ブロロロロロッ
車が発進する。
——橋に向かおう……橋からなら脱出できる。
橋に向かい、道も速度も気にせず走る。
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娘を助けて、橋に向かおうと走って、それで橋に行ったら。
とんでもない光景だった。
それは、絶望に突き落とすには簡単な光景だったよ。
橋がゾンビで溢れ返ってるとか、軍が閉鎖してるとか。
そんなやわな物じゃない。
同、部隊、θチーム隊長インコムの日誌より抜粋
_______________________
ヒューーン。
アメリカ空軍の戦闘機、「トムキャット」が橋にミサイルを落とした。
どーん
響く重低音、生存者を見捨てる行為だった。
橋が崩れ落ち、川を渡ろうとする者は溺れるか、射殺される。
「パパァ……」
最後の希望が堕ちた……
「ねえ……パパァ………」
——娘を助けれるのは俺だけなのに……
「シェリー、パパ、情け無いよな……ママを守れないし、お前も守れないなんて………」
「パパ……」
もはや、これまでと思ったその瞬間。
「生存者はブレイズ大学病院、及びブレイズ都立中学校に避難してください、繰り返します、生存者はブレイズ大学病院、及びブレイズ都立中学校に避難してください」
「!」
希望はまだあった。
「パパ……!」
「行こうかシェリー……」
橋に近いのは大学病院だった。
車をそこへ走らせる。
これが、最後の最後の希望だった。
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2009/07/09 15:08
必死になって車を走らせた。
ゾンビたちが寄ってくるものだから、ガソリンの残りを気にせず走った。
それが大失敗だった。
対テロ特殊部隊θチーム隊長、「インコム」の日誌より抜粋
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「くそっ何体いるんだ!」
橋が落ちてから異様にゾンビが増え、行く手を遮る。
「パパ……」
「しっかりつかまってろ」
そういうと、車の速度を急激に上げた。
グシャッ
ゾンビを一体、また一体と轢いて行く。
「パパァ」
シェリーは小刻みに震えていた。
ドシャ
また、ゾンビを轢いた。
「パパ! 今さっきの駄菓子屋さんのおばさんだよ!」
「うるさい! いいから、黙っててくれ!」
娘に怒鳴っても仕方ないのは分かっていた。
だが、どうしても、怒鳴ってしまった、シェリーが一番怖いのに……
頼れるのは自分しかいないのに……
ドンッ
一気にゾンビの塊に突っ込み、車が横転した。
「きゃああああ」
ガッシャーン。
ようやく、車が止まった。
シェリーに怪我無いようだ。
だが、今の音で、ゾンビたちが一斉に寄ってきた。
「シェリー! 降りろ!」
急いで車から降り、離れようとする。
だが、すでに囲まれていた。
「くそっ」
バン、バン、バン。
拳銃でゾンビの頭を正確に撃ち抜く。
バン、バン、バン。
「弾切れか……」
果物ナイフを取り出し
「シェリー、これに銃弾を入れてくれ、入れ方、分かるな?」
首を立てに振り、拳銃に弾を一発、一発、込める。
本来は二発ずつ入れれば速いのだが、シェリーはそんな事は知らない。
一方、アーノルドは、果物ナイフで戦っていた。
ゾンビの引っかきを紙一重で避け、目に果物ナイフを刺しこむ。
大体はこれで倒せるが、目を狙えない時は首筋を切り、蹴りで首を落とした。
骨ごと斬ったら、果物ナイフ程度は使い物にならない、さっき学習した。
「弾を込めたよ!」
シェリーの装填が終わり、それをアーノルドが正確にゾンビの頭に当てる。
だが、圧倒的に不利だった。
「シェリー、大学病院の場所知ってるか?」
震える声で、聞く。
「う、うん」
「お前だけでも逃げろ……」
よく見ると、手も震えていた。
「ミラ……ママだけでなく、お前まで無くしたくないんだ」
目に涙を浮かべるシェリー。
「やだよぉ、私もパパに死んで欲しくないよ、一人はヤダよ……」
アーノルドは、ハッと気がついた。
——いくらシェリーが助かっても、俺が死んだらシェリーは一人になってしまう…
アーノルドは涙を堪え。
銃を強く握り、構える。
「ありがとう、シェリー」
——最後の最後の最後まで、シェリーと生き残る!絶対にお前を一人にしない!
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________________________
もしかしたら、これが私の遺書になるかもしれない。
ミラ、もしかしたら君会えるかもしれない。
シェリー愛しているよ。
ミラ、シェリーをそっちに連れて来てしまったらゴメン。
君はシェリーに会いたいかもしれない、でも、シェリーを天国で会わせる訳にいかないんだ。
もし、この日誌を拾った方、その時はシェリーを助けて下さい。
髪が短くて可愛い女の子です。
対テロ特殊部隊、θチーム隊長、「インコム」の日誌より抜粋。
____________________________
最後の弾を込める。
バン、バン、バン、バン、バン。
「クッ」
だが、もう後一発という所。
仕方なく、車を撃ち、爆発させる事にした。
バン。
弾はエンジンに当たり、車は爆発………しなかった。
ガソリンが無かったのだ。
——誰かッ
果物ナイフを取り出し、構える。
一体ずつ、ゾンビの首を斬る。
しかし。
「パパァ!」
「ウグウ、ガアアア」
一体のゾンビがシェリーに襲い掛かろうとした。
「シェリー!」
持っていた包丁を投げる。
シェリーを襲ったゾンビの後頭部に深く、包丁が刺さる。
「あ……」
武器が無くなった。
もはやこれまで……
「これを使え!」
何者かが銃を投げる。
「これは!?」
——ingram MAC-10!? 久しぶりに見る、SWAT以来か……
ingram MAC-10 30発の45口径弾丸を使用する、サブマシンガン
バババッ バババッ バババッ
ゾンビ一体につき、三連射する。
これを三点撃ち(または三点バーストとも)言う。
バババッ バババッ バババッ
弾切れになった。
だが、寄って来たゾンビの全滅に成功した。
「次が来る前にここから離れましょう、こっちです!」
車が横転した場所から離れる。
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_____________________
私とシェリーを助けてくれたのは、私にとっては……
何と言っていいのか、だが、この人は私にとっては命の恩人。
それだけだ、緊迫した状況下。
地位や職業、血筋に人種は何の意味も持たない。
ましてや、生きるか死ぬか分からない状況で、あの仕事をしてる人間とは、とか。
あの人種とは、といった事は絶対に言っていけない。
それは、自分の首を絞める事になる。
話が逸れた。
私とシェリーは、”奴ら”の仲間、または食い散らかされた死体にはならなかった。
彼のお陰だ。
もし、彼がいなかったら、私達は……。
感謝してもしきれない。
一応、ここでも感謝を述べる。
ありがとうございます。
対テロ特殊部隊、θチーム隊長:インコムの日誌より抜粋。
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アーノルドとシェリーを助けたのはSWTAの制服を着ていた。
階級章を見る限り、階級は中尉。
顔は、マスク等であまりよく分からない。
「本当にありがとうございます、貴方がいなければ、今頃、私達は……」
頭を下げ、礼を言う。
「いえいえ、私は銃を渡しただけです」
首を振る。
そして、聞く。
「ところで、今さっきの銃の扱い、一般人が扱う物じゃないです、そう、まるで歴戦の戦士の様な…」
アーノルドは、銃を返し。
「私はただの一般人ですよ」
そうですか…と残念がって。
「私の名前はケン・ミラーです、貴方は?」
「私の名前はアーノルド・シノン、ただのしがない小説家だよ」
アーノルドが名乗ると、ケンは目を見開き。
「貴方が”あの”アーノルド・シノン大尉ですか!?」
「あの?」
アーノルドが疑問に思うと。
「一般人だなんて、謙遜しないでください、アーノルド・シノンと言えば、SWTA内部で、今も語り継がれる、生きる伝説です!爆弾解除の最速記録に、射的のハイスコア、拳銃の組み立てで最速記録を樹立!他にも様々な記録を樹立した、人間ですよ!?退役後も、劣りが無い様で」
息継ぎをせずに一気に喋ったせいか、肩で息をしている。
まるで、憧れのスターに会ったかのような。
否、彼にとっては、本当のスターなのだろう。
「パパって凄い人だったんだ!」
「みたい……だな」
笑っている。
少し、場が和んだ。
無論、今だけである。
今でも、ゾンビはそこらを徘徊している。
気を抜いては命とりになる。
「さて、それではアーノルドさん、行きますか」
「ああ、ここからだと、ブレイズ大学病院が近い……」
急に、ケンの顔が暗くなる。
「それが……大学病院の方は……もう……」
しかも、車が無い。
またも、困難に立たされる。
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病院が駄目とすれば、もはや学校しか残っていなかった。
だが、ここからだと、遠く、約20ブロックある。(注:ブレイズシティーでは約0.7キロを1ブロックとする)
車があればすぐだが、徒歩となると。
まず、足の用意が必要だった。
だが、その前にケンが装備を整える必要があると言う。
ちょうど銃器専門店と自動車の店は1ブロック以内にある。
私達はまず、銃器専門店に行くことにした
対テロ特殊部隊θチーム隊長インコムの日誌より、抜粋
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「シェリー、大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
シェリーは心強かった、武器を持った大人が二人もいる。
そもそも、この二人は、現時点では生存者最強だ。
「アーノルドさん、これを」
ケンは、大きなバッグから、三種類の拳銃、コンバットナイフ、ナイフホルダー、ホルスター×3を渡した。
ナイトホーク
.50AE弾丸を使用するハンドガン、威力がかなり高い、装弾数は7発
ここでは、ナイトと表記することにする
ES.ファイアセブン
5.7mm弾丸を使用するハンドガン、連射速度が速い、装填数は20発
ここでは、ESと表記することにする
インフィニティ・レッド
.45 ACPを使用するハンドガン、「インフィニティ」の改良版、改良版には二種類あるが、レッドは装弾数が多く、命中精度が高い、装弾数は15発
ここでは、レッドと表記することにする
「それと、これも」
——これは……MP7A1か……だが、それにしては弾倉が大きいな……
「それは、最近開発された拡張弾倉です」
MP7A1拡張弾倉
4.6mm弾丸を使用するサブマシンガン、連射速度が高く、ストックをつける事で命中精度を高める、装弾数は50発。
「なるほど、これは心強い」
「ただ、銃弾が残り少ないので、補充しないと……」
「そうだな……」
二人が難しい顔していると。
シェリーが、アーノルドの服の裾を引っ張る。
「パパ!」
指を指す。
指した先には、新たなゾンビの軍団。
その数、ざっと20体。
「最近の武器の性能を見てやるか」
アーノルドの目は、シェリーが何時も見ていた、普段の目では無かった。
兵士の目だった。
シェリーは嫌な予感がした。
まるで、後に大変な事が起きるのでは、と。
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私は大変な過ちを犯した。
久しぶりの銃で、トリガーハッピーになっていた。
娘を守る為に戦っていた筈なのに、いつの間にか、敵を倒すことに集中していた。
私は何て愚かなのだろうか。
今、悔やんでも仕方がない。
私はシェリーを□□□□□(破けてしまい、読めなくなった)
対テロ特殊部隊θチーム隊長、インコムの日誌より。
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ズダダダッ ズダダダッ
街中で発砲音がこだまする。
また一体、また一体と、ゾンビが蜂の巣にされていく。
弾幕を避けたゾンビに対して、アーノルドはナイフで応戦する。
ゾンビの噛み付きを紙一重で避け、後ろからナイフで首を切断する。
後、10体。
アーノルドは武器を、インフィニティ・レッドに持ち変える。
「後は、これで十分だ」
バンッ バンッ
「後、8」
バンッ バンッ バンッ
「5!」
バンッ バンッ バンッ バンッ
「1」
真後ろに最後の一体がいた。
アーノルドに飛び掛ろうとしたその瞬間。
ズダーン
重い銃声。
ケンがライフルで撃ち抜いたのだ。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ」
銃をホルスターにしまい。
「シェリー」
シェリーを呼ぶ。
「パパァ……」
「大丈夫、もういないよ」
ケンがライフルをバッグにしまうと。
「では、行きましょうか」
武器屋に向かう。
10分後。
〜ブレイズ武器商〜
大きな看板。
その下のドアを開ける前に、二人は銃を取り出す。
「何が出るか分かりません、気を締めて行きましょう」
銃を構えて。
「分かった、3.2.1で行くぞ」
二人共、深呼吸をして。
「3」
「2」
「1…」
バンッ
豪快に扉を開ける。
「動くな!」
ショットガンを構える、若い男性が一人。
カチャッ
ケンとアーノルドは、若い男性に向けて、銃を構える。
「! 何だ、人間か……」
銃を下して。
「すまない、奴らかと思ってね」
「そうですか、こちらもすいません、勢い良く扉を開けて、驚かせてしまって」
武器商人、であろう若い男性は扉を閉め、鍵を掛ける。
「俺は、アレン・エーリッヒだ」
アレンが名乗った。
20代前半で、髪は刈り上げている、それ以外はどこにでもいるようなティーンエイジャー。
そして、アーノルドとケンも名乗る。
アーノルドがシェリーを呼んで。
「この娘が、私の娘のシェリーです」
ケンがアレンに交渉する。
「武器を分けて貰えませんか?」
「駄目だ」
アレンは断固拒否していた。
「何故です? 貴方は脱出しないのですか? 貴方はこんなに武器があると言うのに、脱出しようと思えば出来るでは無いですか」
すると、アレンは重い口を開く。
「俺は死のうと思ってるんだ、つまりは自殺志願者だな」
「な……」
アレンは下を向き。
「俺はさ、生きてちゃ駄目なんだよ」
「そんな事ありません! 死んでいい人間などこの世には——」
ケンの言葉を遮るように、アレンは叫んだ。
「テロリストに武器を売ってもか!? 人が死ぬのを手助けした人間もか!?」
アレンは椅子に座り、自分の生い立ちを語る。
「俺は、見知らぬ男達に武器をくれと言われた、1000000ドルと言う大金を目にして、欲に眩んだんだ」
そして、壁に貼った新聞を指差す。
「アサルトの工場でテロリストが立て篭もっただろ? 俺が協力してしまったんだ」
______________
アサルト工場、大規模のテロリスト立て篭もり。
死者、カウンターテロリスト 3691人
テロリスト 5026人
歴史に残る、とてつもなく大きなこの事件。
キャスター達は単独取材に成功
恐るべき秘密が明ら□□□□□(ここから先は破れていて読めない)
__________________
「その後、警察が来て、俺は取調べを受けた。幸い、【客がテロリストだとは分からなかった】と言う証言のウラが取れて、軽い罪になったけど……」
大きくため息をつく。
「その後は、死の商人とか、人間じゃないとかって、近所から酷いイジメがあったよ」
目が少し涙ぐんでいた。
「だから、死のうと考えたのさ、ゾンビを出来る限り殺して、出来るだけ、この街の人間を救おうって。そしたら救われるような気がするんだ」
そして、立ち上がり、銃を構え。
「分かったか? だから俺はここを脱出する気も無いし、武器を渡すつもり無い」
ですが、とケンが言いかけたその瞬間。
「すまない」
鳩尾にアーノルドが重い一発をかまし、アレンは気絶した。
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_______________________________________
2018/11/09
人は時に大きな過ちを犯す。
あの時の私は、大きな過ちを犯した、それも、今でも償い切れない様な。
私はあの時、本当に正しい事をしたのだろうか。
過ちと分かっていながら、正しいとは、いかなる事か。
だが、私はあの時仕出かした過ちを、後悔していない。
自分の行動には責任を持つ、そう決めたのも、あの時だった。
それが過ちだったとしても、責任を持ち、償う。
全ての行動に責任を持てる人間など、殆どいないかもしれない。
むしろ、私がその全ての行動に責任を持てる人間では、無いかもしれない。
もし、そうでなかったら、今頃、私は、新たな過ちに、後悔などしていない筈だ
対テロ特殊部隊、総司令官インコムの日誌より。
_______________________________________
鳩尾を殴り、気絶させたアレンを連れ、車の調達に急いだ。
人を担いだままで、ゾンビに出くわしたら大変だからだ。
武器屋で銃弾を補充し、アレンを連れ移動中。
大体、車の店まで、後、200メートル位。
人を担いでなければ、すぐに着くが、今は本当に担いでる。
車の店が見える位に入り口を見る。
やはり、ゾンビが居た。
その数、ざっと20体。
街中では、銃を乱射する、手榴弾を投げる等すれば、すぐに倒せる群れだが。
店内の車を壊す訳にはいかない。
「どうします?」
アーノルドは少し考えて。
ふと、何を思いついたのか、ペットボトルとタオルを取り出した。
「ライフルはあるか?」
ケンに聞く。
「え?ええ、一応」
取り出したのはSVDだった。
SVD:10発の7.62mmを使用するライフル、登場作品としては、MGS3が有名。
「SVDか……」
すると、アーノルドは、SVDのバレルの先っぽの方のタオルを巻き、ペットボトルの口を切り落とした物をSVDにはめる。
「そ…それは?」
「即興で作ったサプレッサーだよ」
サプレッサー:銃声を抑える為の器具。
バスン。
本物ほどでは無いが、音は抑えられた。
「なんとか為るもんだな」
それを使い、どんどん店内のゾンビを狙撃していく。
「そ、それは、貴方が編み出した、サバイバル技術ですか?」
「いや、映画からだ」
目を点にするケン。
瞬く間にゾンビを殲滅する。
「よし、行くぞ!」
SVDをケンに返し、ESを構える。
一気に車の店まで走り。
「ええと、よさそうな車は……」
ケンが色々、車を物色してる間にアレンが目を覚ました。
「う…ああ」
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_______________________________________
2009/07/27
俺の名前はアレン・エーリッヒ、しがない普通の武器商だ。
人は何か罪を背負っている。
どこかで聞いたことのある話だな。
だから、人はその何かの罪を償うために生きている、と言う事か。
俺の罪は人が沢山死ぬのを手助けした事だ。
俺はこの罪を償う為に戦うと決めた、決めたつもりだったが。
ある男の言葉に気がついた、俺はいつの間にか償うという言葉を使って、死のうとしただけなのかも知れない。
そんなの、全く罪を償う事にはならないのに。
カウンターテロリスト、βチーム隊員ロレスの日誌より抜粋
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「何故だ!何で俺を生かす!」
アレンの虚しい叫びが、店内にこだまする。
「俺は!俺は!俺は罪を償う為に戦って死ぬんだあ!のうのうと生きてちゃ、俺のせいで死んだ奴に顔向け出来ないんだ!」
アレンの顔から、涙が零れる。
「俺は…俺は…」
ゲシッ
アーノルドがアレンの頬を思いっきり殴った。
「グハッ」
アーノルドは物凄い形相で怒鳴る。
「お前は本当に悪いと思っているのか!?ええ?」
「悪いと思っているさ!だから死のうと——」
また、一発殴る。
「それが悪いと思ってない証拠だ!」
——死のうとするのが償う意思を見せてない?
まるで、今の自分を全否定されている様な気分。
「お前に!お前に俺の気持ちが分かるかああああああああ!」
「知るか!」
さらにもう一発
「知らないがな!一言言わせてもらうぞ!お前は償うと言って、死のうとしてるがな、それはただ単に、逃げ道を作ってるだけじゃないのか!?本当に罪を償うというのを分からないまま、償うって言って死のうとするな!」
——逃げ道を作ってる?本当の罪を償う?
アレンには分からない事だらけだった。
今まで、何か、人を助ける様な事をして死ぬのが、一番の償いと思っていた。
そこへ、本当の償いを理解していないとは、どういう事のなのか、分からなかった。
「本当の償い?」
「ああ、そうだ!本当の償いだ!死ぬのが、自分のせいで死んだ人への償いだとしたら、軽すぎる!たった一人の命で償い切れるものか!」
たった一人の命。
その言葉が、アレンの胸に強く響く。
「たった一人の命……」
「出来るだけ人を助けると言う事まで辿り着けたのはいい、だが、死ぬな!お前の今日、明日が、お前のせいで死んだという人たちにとって、どれだけ欲しいことか!」
——あ……
ようやく自分の間違いに気づき、呆然とする。
「俺は、間違っていた、死にたくなかった人が居たのに、罪を償うって言って、死んだら、逆にあの人達を侮辱していた」
自分の罪に気づき、泣き崩れる。
10分、泣き続けた。
ようやく、涙も収まり。
「すまない、待たせちまったな」
そして、銃を持ち。
「俺も戦う、戦って生き残って、死んだ人達の墓参りに行くよ、それが、償いの第一歩だ」
ケンが戻ってきて。
「よさそうな車がありました!4人乗ってもまだスペースはある位の大きな車です!」
エスティマ、日本の大型車。
「でかした!」
アレンが手を振る。
「シェリー」
アーノルドがシェリーを呼ぶ。
「は〜い!」
色々、車を見ていたシェリーが、アーノルドの下へ行く。
ケンはエスティマの鍵を見つけ。
それで、起動する。
「おお!動く!動く!」
ガソリンはメーターの75%辺り。
「乗ってください!」
アーノルドがシェリーをおんぶしようと近づいたその瞬間。
バリーーーンッ
割れるガラス。
「きゃああああ」
「シェリー!!」
キシューーーーーーン!
バーニア(?)を着けた、大型のゾンビ、その大きさ、約2メートル半。
左腕には、ガトリング砲。
右腕には大きな鉤爪。
右肩にはロケットランチャーを。
顔には、カメラと思しき物を頭にヘルメットの様な物と一緒に着けている。
「ピーーーーーーー、ターゲット発見、ジョーカー博士からの命令、”シェリー・シノンを捕まえよ”実行します」
——ジョーカー博士?何者だ?いや、それよりシェリー!
大型ゾンビの右肩から、アームが3本出てきた。
そのアームで、丁寧にシェリーを掴む。
「シェリー!」
大型ゾンビを倒そうと、銃を構える。
「——ッ!?」
大型ゾンビは、シェリーを盾にする。
「クッ」
きしゅぃぃぃん
大型ゾンビは、バーニアを点火し、空高く飛びたった。
「シェリィーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ビルが立ち並ぶブレイズシティーで、アーノルドの叫びがこだました。
-
________________________________________________
2009/07/26 PM 22:09
大変な事をしてしまった、私が、シェリーを傍に居させなかったから、こんな事が起きてしまった。
私は父親失格だ。
すまない、シェリー、ミラ。
私は車の店にあった、バイクを一つ、貰っていく事にした。
ケンとアレンは中学校に行かせた、後で追うから、と言って。
あの二人を巻き込む訳には行かない。
するとケンは銃を渡してくれた。
スカル-7というマシンガンと、TRG-42というライフルを沢山の銃弾と一緒に渡してくれた。
ハンドガンはインフィニティ・レッド以外を返した。
このインフィニティ・レッドと言う物はかなり気に入った。
私は、あの大型のゾンビが飛んで行った方向へと、バイクを走らせた。
そして、工場跡地を見つけた。
何か手がかりがと思い、入るとそこにはとんでもない光景が広がっていた。
恐らく、この異常事態の為に派遣された、部隊だろう。
メモ帳を強く握っていた。
そこには、この部隊が体験した、恐るべき出来事と、ある一点に印を付けた物だった。
これを、誰かに託したかったのだろう。
印を付けた所に文字が書いてあった。
雑で読みづらかったが、確かにこう書かれていた。
けんきゅうじょ、と。
もしや、シェリーを連れて行ったゾンビはそこに居るのかもしれない。
ちょうど、方向も同じ。
私はそのメモ帳の内容を私のメモ帳に書き写した。
そのまま持っていきたかったが、このメモ帳は私に託されるべきでは無い。
そう思い、あった場所に戻す。
私はメモ帳に記された場所へ、バイクを走らせた。
対テロ特殊部隊θチーム隊長、「インコム」の日誌より抜粋
_________________________________________________
——ここか……
銃撃戦が繰り広げられた後の地形。
そこらのコンテナに穴が開き。
壁代わりに作ったであろう物も無残に壊されている。
なんと、先発隊の残した物と思われる補給エリアが。
アーノルドはとりあえず、銃弾の補充をした。
.338Lapua弾丸(注:TRG-42の銃弾)60発
5.56mm Anti-Zombie特殊弾(注:スカルの銃弾)720発
.45 ACP(注:レッドの銃弾)600発。
持ちきれなさそうで、持ちきれる。
だが、やはり重い。
アーノルドはスカルの弾を120発、TRG-42の弾を30発置いた。
後に来る者に残す為である。
スカルを構えながら走り。所々出てくるゾンビをスカルで蹴散らし。
遠くに居るゾンビをTRG-42で狙撃したりで、何とか、研究所前に来る。
「これは……」
とてつもなく大きな門、否、壁が立ちふさがる。
「ここからだと、入れないな……」
周りを捜索していると、ひしゃげた穴を見つける。
「嫌な予感がするが、仕方ない、ここから行くか」
ひしゃげた穴に飛び込む。
ガガンッ
床が鉄で出来ている。
「これだと、足音が……」
スカルをしまい、レッドを構える。
カツーン、カツーン、カツーン
「!」
足を止める。
カツーン………
——どうやら、あちらも気づいた様だな。
二人、敵か、味方か。
はたまた、ゾンビか。
確認しなければ分からない。
「3、2……」
深呼吸して。
「1!」
ガガーン
二人とも同時に同じ行動をとったようだ。
ハンドガンで、狙う両者。
一歩も引かず、沈黙が続く。
「お前はこの工場の人間か?それとも、先発隊か?」
男は応えない。
「応えろ!」
男は銃を下ろし。
「自己紹介に銃を構える必要は無いだろ?それに、名前を聞くときはまず自分から、な?」
アーノルドも銃を下ろし。
「すまない。私の名前はアーノルド・シノン、一般人だ、お前は?」
「一般人がここに居る訳が無いだろ?」
手を前にだす。
アーノルドは銃をしまい。
「娘が連れて行かれたんだ」
「なるほど、父親の愛って奴か」
男も銃をしまい。
「俺の名前はZER4、SASだから本名は明かせない、すまないね」
「いや、大丈夫だ、SASは味方にも、顔や本名を知られてはいけないと聞く、知られたら処刑という事も……」
「………」
しばしの沈黙。
「俺の目的はREX博士という奴を追うんだ」
「REX博士?」
銃を持ち変える。
AN94、5.45mm弾を使う2点式突撃小銃:ここでは、ANと表記する事に。
「Tウィルスを作った科学者だ」
そして、ZER4は自分の過去を明かした。
-
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2009/07/26 23:06
ZER4という、男の話をここで簡潔にまとめる。
かっこいいおじさん率いる応援部隊と合流後、ゾンビと遭遇、部隊の壊滅したが、ZER4は生き残る
だが、REX博士により、T-ウィルスを投与される。
ミリシャのPCにより、研究所を発見、部隊を引き連れ突入。
するも、研究所を爆破でZER4以外は死亡。
ZER4自身、新種のT-ウィルスで驚異的な再生能力を手に入れる。
インフェルノにて、新たな脅威、バンガードカンパニー、コマンチと対峙。
そして、REX博士の所在が判明、つまり、ここに来たと言う訳だ。
ブレイズシティー生存者、アーノルド・シノンのメモ帳より抜粋。
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「だが、その後、F-ウィルスとやらが盗まれたらしい、それに対して核を撃つつもりだ」
「核!?」
「つまり、ここには居ないって事だ」
残念、そう思わせる口調で、語る。
「なら、何故?」
「フォボスを倒すためだ」
——フォボス、F-ウィルスの不適合者の成れの果て。
「それに、少しは、謎のヒントが欲しい」
銃を構えつつ少しずつ、進む。
「なるほど」
アーノルドは、スカルをしまい、先発隊が残した(であろう)アサルトライフル、クラリオンを構える。
5.56mm弾丸を使用するアサルトライフル、ブルパップ式という、撃つ時の弾の出方(フルオート、セミオートの切り替えが可能など)タイプの銃で、モード変更後は、三点撃ちを使用する、装弾数は25発。
「よく落ちてる銃を使えるな……」
ZER4が苦笑する。
「使えるものは全部使えって教わったからな」
誰にだ?とZER4が聞こうとした瞬間。
ガシャーン。
ゾンビが大量に出てくる。
「来たか……」
ZER4はハンドガンに持ち替え、応戦する。
ピンポイントで、ゾンビの頭を撃つ。
「強いな……」
アーノルドは、先ほど拾ったクラリオンを使い捨てるつもりで、それにしては正確にゾンビを撃つ。
三点撃ちにモード切替している。
タタタンッ タタタンッ
「お前もな!」
ズダンッ タタタンッ
互いの背後のゾンビを撃つ。
「すまん!」
「こちらこそ!」
30分前に会ったとは思えない程のコンビネーション。
カチンッ
クラリオンの弾が切れる。
「これを使え!」
ZER4がANを渡す。
「すまない!」
間近に迫ったゾンビを倒す。
「これで借金はチャラだ!」
アーノルドがスカルを渡す。
ズダダダダダ!
ZER4がスカルで、群がったゾンビを一網打尽にする。
そして、同時に借りた銃を投げて返す。
「「ありがとな!」」
二人同時に、連射し、弾幕を張る。
一気に突入する為に、走りながら撃つ。
「「うおおおおおおおおお」」
最強のコンビの結成である。
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2009/07/27 00:39
日本の誰かが言った、人の出会いは一期一会と。
一期一会とは、確か一生に一度の出会いとかうんぬんかんぬん。
ZER4との出会いも、一期一会だろう。
出来れば、もう一度会いたいと思う。
違う出会い方をしていると、同じ部隊だと思う。
また違う出会い方をしていると、敵同士だったかも知れない。
だが、いい奴なのは分かる。
出来れば、今度はSASとしてではなく、普通の戦友として、会いたいモノだ。
生存者、アーノルド・シノンのメモ帳より抜粋。
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「別れ道か……」
看板には、[右、実験所 左、工場]と書かれている。
「俺は工場の方に行く。恐らく、そこにフォボスが居る」
「なら、私は実験所に行く、あからさまに怪しい」
フッと笑い。
「ここでお別れだな」
「ああ」
ZER4は、ポケットから、ドッグタグを取り出す。
[SAS司令官□□□□□(削られていて読めない)中尉]
「アーノルド、お前は……後悔しないようにな………」
「ああ」
ZER4は、ドッグタグをポケットにしまう。
「お前とは、同じ部隊で出会いたかったよ」
「私もだ」
パンッ!
ハイタッチで、自分の道を向き。
「「じゃあな!出来れば、また会おうか!」」
同時に走り出す、自分の行く道を。
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2009/07/27 03:38
ZER4と別れた後、私は実験所へと突き進む。
「後悔するなよ」
その言葉が、頭から離れない。
娘を助けられない。
そんなビジョンが頭に浮かぶ。
私は、プレッシャーで押し潰されそうだ。
だが、だからこそ、後悔無いように走る。
ひたすら走る。
そして、走っている内に、大きな自動扉が見えてきた。
生存者、アーノルド・シノンの日誌より抜粋
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「これは……」
実験所らしき場所で、声が響く。
大きな自動扉に近づくと、扉は急に開く。
「入れという事か」
アーノルドは、スカル、TRG-42の弾を確認する。
——ジャム(詰まり)は無いな。
タタッ
自動扉をくぐる。
「何も無い……」
何も無い、殺風景な部屋。
特徴としては、サッカーのグラウンド位の広さ。
「シティーの地下にこんな物があったなんて」
アーノルドが部屋の奥にある扉を開けようとした、その時。
キーーーーーーーーーーン
バーニアで飛ぶ一体の影。
それは、シェリーを連れて行ったゾンビより、少々細いが、鉤爪が伸び、太くなっている、鉤爪と言うより、一本の大きな槍になっていた
武器は、ロケットランチャーが対戦車用ライフルに変わっていて、ガトリング砲は変わっていない。
そして、シェリー連れ去った腕は機械では無く、そのゾンビ自体の腕になっていて、それぞれが、ショットガン、サブマシンガン、マシンガンと持っている。
「始めまして、ですかね?アーノルド君」
アーノルドに年が近い女性の声。
ゾンビの無線機で喋っているのだろう。
「お前がジョーカー博士か……シェリーを返せ! そして素顔を見せろ!」
「それは出来ません」
即答だった。
「ですが、この被検体、J-01(ジェイのゼロイチ)を倒せたら、私の研究室の扉を開けましょう」
アーノルドは少し黙り。
「分かった、シェリーを助ける為だ、こんな奴、1体でも、2体でも相手をしてやる!」
銃を、被検体J-01に向ける。
-
ずだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ
大量の弾が、J-01のガトリング砲から飛び出る。
かららららららん
何個も、何個も空薬莢が落ちる。
それでも、ガトリング砲は止まる気配を知らない。
「くそっ」
弾丸を何度もかすめる。
「逃げてては何も出来ませんよ?」
——それくらい分かってる……
だが、一瞬でも動きを止めれば瞬く間に蜂の巣にされる。
(一か八か……)
アーノルドは懐から取り出したマーク2手榴弾を投げる。
マーク2手榴弾。
アメリカ軍がベトナム戦争まで使っていた手榴弾。
これは 対人破片手榴弾というもので、爆発の炎はあまり出ないが破裂した時に丸い外殻が破片になって飛び散り、周りにある生き物を容赦なく殺傷する手榴弾。
これを、J-01に走りながら投げる。
J-01は急にガトリングの乱射を止め、対戦車用ライフルで撃つ。
ずどぉぉぉーん
手榴弾の爆発音より、大きな音。
手榴弾を撃ち、それを通り越して地面に当たる。
大きな穴が開く。
「うお!」
着弾時の衝撃で吹き飛ばされる。
その後、バーニアを吹かし、急接近するJ-01。
転がって避ける。
そして、お土産と言わんばかりに、M24型柄付手榴弾(えむ24がたえつきてりゅうだん)を投げつけ、走って逃げる。
M24型柄付手榴弾
第一次世界大戦にドイツで開発された柄付き手榴弾の後継型。
小さい缶詰型の炸薬に木製の棒をつけた形状から、ポテトマッシャー(じゃがいも潰し)という俗称がついた。
これは、破片手榴弾と違い、大量の爆薬を発火させる事により起こる爆発で殺傷する。
どがーーん
「やったか!?」
J-01は……無事だった。
「何てこった……」
だが、三本の腕が消し飛んだ。
つなぎ目辺りから、ビューと血が吹き出ている。
しだいに、傷口が塞がる。
「でも、消えた腕は再生しない……」
勝機か……
「やりますね?アーノルド君」
「”君”づけするな!」
——俺に”君”を付けていいのは……
首を振り、雑念を取り払う。
J-01は対戦車用ライフルを構えていた。
「しまった!」
辛うじて避けたが、TRG-42が撃ち抜かれた。
そして、その衝撃で吹き飛ぶ。
だが、武器を失ったのはアーノルドだけでは無かった。
がしゃん
J-01の対戦車用ライフルが落ちる。
-
「おやおや、まさか対戦車用ライフルが壊れるとわ」
まったく驚いてない口調で話す。
「ハァハァ」
「でも、アーノルド君はもう息が上がってますね」
「だから…ハッ……君づけは……」
足がもつれる。
J-01はこれを見逃さなかった。
きーーーーーーん ばしゅっ
バーニアで一気に突っ込む。
アーノルドは最後の力を振り絞り、大きく避ける。
ずごん!
壁に深く刺さる。
「ハァハァ」
頭に銃弾を撃てば、それで倒せる。
だが、アーノルドは立てない。
ずっ ずっ
少しずつ、引き抜いていく。
ずっ ずっ ずっ
後、少しで引き抜ける所まで来た。
ずっ ずがん!
抜けた。
ずがーーーーーーーーん
壁が爆発する、その爆炎に巻き込まれるJ-01。
「何!?あ…ジュースが白衣に……」
J-01が爆発した事に一瞬驚くが、一瞬だけ。
爆煙が引き始め、J-01が見え始める。
四肢が吹き飛び、虫の息だった。
「ハァハァ」
J-01に近づき、止めを刺そうとする。
「ぐ…あ……」
「!?」
——生きている!?
とてつもない生命力に驚きを隠せないアーノルド。
だが、ここまでだ、と銃で頭を狙う
「あー…のる……ど…」
「!?」
——何故、コイツが……
「会い……た……い」
「あ…」
——こいつは…ミラ……
-
「ミラ……」
「あー……の……」
「俺は……」
絶望一色に染まる。
「最愛の妻を殺しちゃったんですか?」
「うわあああああああああああああああ」
アーノルドの悲痛な叫びが部屋中に響く。
「ミラァァァァァァァ」
泣き崩れる。
「…………」
ため息を吐き。
「バッカみたい」
「何……だと!?」
「”それ”が、ミラとか言う女という証拠があるの?」
怒気の混じった声で、アーノルドに聞く。
「そいつの頭はAIよ?信じれないなら確認してみなさい」
「………」
アーノルドはナイフを取り出し、J-01のヘルメットの様な物を外す。
中には、AIしか無かった。
「これは……」
ピリリリリ。
「ジョーカー博士の研究室、解錠します」
アナウンスが、ジョーカーの研究所の扉の鍵が開いた事を知らせる。
「来なさい、色々と教えてあげるわ」
アーノルドは、ナイフをしまい、ハンドガンを取り出した。
「奴は一体……」
暗い部屋に女性が一人いた。
部屋が暗いせいで、振り向いても口元しか見えない
「いらっしゃい」
「お前は何者だ!シェリーを何処にやった!」
「一度に聞かないの」
煙草を取り出し、口の左端で咥える。
——止めろ、その煙草の吸い方は……
「さて、アーノルド君、まずは何から話そうかしら」
——止めろ!その呼び方は……
指を鳴らせないくせに、指パッチンの真似をする。
——だから……
「ミラの真似を止めろおおおお!」
ずどん。
一発、発砲する。
だが、ことごとく外れる。
「お前は誰だ!癖も!俺の呼び方も!その煙草の吸い方も!何でミラの真似をする!」
「………」
ジョーカーは黙ったまま。
「声まで……」
銃を落とす。
——そんな訳無い、コイツが、コイツが。
「お前が、ミラな訳が……」
「私は、ミラよ……」
ジョーカーがアーノルドの目の前に近づく。
ようやく、顔が見えるくらいになった。
プラチナブロンドで、肌は何日も外に出ていないのか、白い。
整った顔立ち、だが右目に眼帯をつけている
「嘘だ、嘘だ……」
「そう…そうやって貴方は、信じたくない事実を、虚実だと言い張るのね。真実はね、時に酷いのよ?信じていた者が裏切ったりね」
「お前がミラなら、何故シェリーを連れ去ったああ!」
少し、悲しい顔をする。
「貴方は私がシェリーを実験に使う為に誘拐したと思っているの?」
「それ以外に……」
「あの子を助ける為よ」
「!?」
何か言おうとした、瞬間。
「私だって!あの子を”あの部屋”に入れたくは無かったわよ!でも、この街で生き残る為には救助する必要があったのよ!あの子は!あの子は私と貴方の一人娘なのよ!?」
怒鳴る、ジョーカーであり、ミラである女性。
「それに、まだ私は……」
「………」
何も言い出せないアーノルド。
「はぁ、話を戻しましょう」
「まずは、”あれ”の正体についてね」
いきなり、気分を切り替え。
「あれは、J-ウィルスで出来たゾンビよ」
「J-ウィルス……」
「正式名称、ショーカー・ウィルス、投与すればREX君が作ったT-ウィルス、F-ウィルスに適応、強化が可能となるわ」
そして、不敵な笑みを浮かべる。
「貴方って、大富豪って言う、日本のトランプゲームを知ってる?ブラックジャックでも良いわ」
「ブラックジャックなら」
「OK、ブラックジャックって、21で勝ちじゃない?で、ジョーカーは引けば強制で21になるでしょ?つまり、最強になると言う事」
アーノルドは気がつく。
「ウィルスの”ジョーカー”」
「そう、一枚でも最強、組み合わされば無敵のウィルス」
あれはJ-ウィルスだけなんだけど、と付け足す。
「ジョーカーって、よく死神をプリントされてるでしょ、私のジョーカーは死神を意味しているの」
「………」
煙草を投げ捨て。
「面白いわ、死神って」
「ミラ……」
「何?アーノルド”君”。いえ、結婚する前はシノン君って呼んでたわね」
落とした拳銃を拾い。
「シェリーは何処だ?」
「何よ、もう少し話を聞いていって」
「時間が無い」
拳銃の残弾数を確認し、装填する。
「私、まだ貴方と結婚してる事になってると思ってるの」
「何を今更……」
「じゃあ、その左薬指にしている結婚指輪は何?」
何も言い出せない。
「こっち向いて……」
「何だ?」
ミラはアーノルドの襟を掴み、自分の顔に近づけ、そのまま。
「—ッ!?」
口付けをする。
-
「—ッ!?」
バン。
ミラを突き飛ばす。
「ミラ……」
「相変わらずキスが下手ね」
目を伏せて
「君が死んで……いや、消えてから一度もして無い」
少し安心した、そんな顔をして。
「そう」
「……」
出口に向かい。
「シェリーは何処だ」
「B2階の実験動物保管所のA-102よ」
「分かった」
銃を構えて、出口を出ようとすると。
「待って」
「何だ?」
「これを」
注射器二本と薬の入った瓶を4本渡す。
「J-ウィルスの治療薬よ。シェリーの分と貴方の分」
「何故、俺が?」
「私とキスしたじゃない」
唇を舐めながら言う。
「……」
「J-ウィルスは感染しやすいの。だから、貴方とシェリーは感染している筈」
「治療薬って言うけど、正確には治療薬じゃないの」
治療薬を受け取り。
「治療薬じゃない?」
「人の体をJ-ウィルスに適応させるの。何度か実験で成功しているわ」
ミラを見つめ。
「自分の……体を使ったのか?」
腕を見ると、注射をした跡がいくつもあった。
「研究者として当たり前の事よ」
白衣を脱ぎ、拳銃とバタフライナイフを取り出して、シャツを羽織る。
「じゃあね」
「ミラ……」
「何?」
ミラの襟を掴み、引き寄せて。
「………」
口付け。
「お返しだ」
「たまには、ロマンチックな事するじゃない」
「”たまに”は余計だ」
アーノルドは今度こそ、出口に向かい。
「じゃあね。シノン君」
「—ッ!?」
すでにミラは消えていた、メモと一緒に。
[今度会う時は私はジョーカー博士よ、それを肝に銘じておくことね]
メモにそう書かれていた。
「わかったよ、でも、ここを脱出するまでだ」
研究所を出る。
「アーノルド君……死なないようにね……」
ミラの目元に涙が光る。
-
「シェリー!」
「パパ!」
鉄の扉、蹴ったりしても開けれそうに無い。
——ピッキングの才能は無いしな。
「シェリー、扉から出来るだけ離れろ!」
「う、うん……」
アーノルドはM24型柄付手榴弾を扉に向かって投げる。
ずどーん
扉が吹き飛んだ。
「シェリー!」
「パパ!」
「もう大丈夫だ、早くここから出よう」
そして、注射器を取り出す。
「すまない、シェリー、君は今病気にかかってるんだ、だから、そのお薬を注射で……」
「パパ!分かってるから!」
——強い子だ……
シェリーに薬を投与する
「っ!」
「よーし、我慢できたな、行こう」
走り出す。
一階で地図版を見つける。
「列車か……」
そこに、アナウンスが鳴る。
「殺菌準備完了、研究員は直ちに退避してください」
「殺菌!?」
ガ……ガガ……
無線が鳴る。
——何時の間に……
「誰だ?」
「私よ、ジョーカー」
「君か。一応、私はここを脱出するまでは君の事をミラと思っていたいが」
無線の向こうで笑い声が聞える。
「ありがとう、アーノルド君」
「それで、どうしたんだ?」
「殺菌の準備が出来てしまったの」
「殺菌!?」
「あら、ZER4君に聞いてなかったの?」
——彼女は認めた奴に”君”をつける癖があったが、今も健在か……
「まぁ、いいわ、T-ウィルスはF-ウィルスを殺菌する能力があって、F-ウィルスにもT-ウィルスを殺菌する能力があるの」
「分かった、そこまでは理解出来た」
「それで、侵入者……つまりはZER4君とその他の隊員は全員がT-ウィルスに感染しているの。だから、F-ウィルスを撒いて、殺菌するつもりよ!」
——ZER4が!?いや、それより。
「だから、列車に乗って——」
「言われなくても、脱出の為に乗るつもりだ」
「よかったわ」
「シェリーに治療薬は?」
「大丈夫、ちゃんと投与した」
「ああ」
安堵感による物か、息を漏らす。
「よかった」
「だが、J-ウィルスはF、T共に適合するようになるものじゃ……」
「確かにそうだけど、殺菌に使われる量がキャパシティ範囲を超えるのよ」
「わかった」
「電車がある所には、無線機と電車が何処に出るかが分かる地図、発煙筒があるから、持っていって」
アーノルドは、持っていた無線機を見る。
「これじゃ駄目なのか?」
「それは、ある一定の無線機しか傍受しない特殊な無線機なの、だから無理ね」
アーノルドは黙り込む。
「あと、アーノルド……その……」
「シェリーと話さなくていいのか?」
「—ッ!?」
驚きのあまりに、声が出ないミラ。
「いいの?」
「ああ、きっとシェリーもよろこぶよ」
無線機をシェリーに手渡し。
「シェリー、ママだよ」
「え?でも、ママは……」
「生きてたんだ!ママは生きてる!」
「うん…」
シェリーは無線機を耳に当て。
「ママ……?」
「シェリー……」
「ママ、久しぶり……」
ミラの泣き声が聞える。
「………」
「シェリー、歩きながらでいいか?」
「うん」
シェリーの手を握り、歩き出す。
「シェリー……よかった……もう会えないと思ってた……」
「ママ、ママは今何処にいるの?ねえ、何でママも一緒に行かないの?」
「………」
ミラは何も答えない。
「お仕事だよ、シェリー」
アーノルドが口を開く。
「ママ、いつか、いつかまた一緒に暮らそう?パパも本当はママの事何時も考えてるもん、夢でうなされてるときもママの事呼んでたし……」
アーノルドは顔を赤らめる。
「シェリー、そんな事言うなよ……」
無線機の向こうで笑い声が聞える。
「シェリー、絶対に何時かまた一緒に暮らしましょうね?」
「うん……」
そして、無線が途切れる。
「ママ?ママ?」
「ママは、お仕事に戻ったんだよ」
「………」
「だから、今は絶対にここから生きて出よう」