デジモンゴーストゲームの世界軸から
翔天界(とてんかい)に遣って来た者達が､

みいはる學薗の"芬薗(ぶんえん)寮"で
過ごす様に成ってから､初めて迎える冬｡

新月の晩の事だ｡

宇田川(ウダガワ) アオイの
ス磨ートフォンに､
漆汐 醒儷(シチセキ セイラ)から
一通のメールが届いたのだ｡

アオイ
｢セイラン? 此んな時間に何事…えっ､
正か…!｣

セイランこと醒儷からのメールには
｢たすけて､アオイン…あたし､もう､
げんかい｣とだけ､書かれて在った｡

アオイ
｢…嫌(や)な予感､的中しちゃった…｡
待って､セイラン､御願いだから如何か
早まら無いで｡セイラン…貴女の重く
苦しい責(もの)は…誰かが…必ず綺麗
さっぱり取り除いて呉れるから…!｣

アオイは､境遇此そ違えど､醒儷と同様､
翔天界とは別の世界から遣って来た
直後に"個性的な技群"=自流系統を得た為､
最初から"極戦(ごくせん､自流系統所有者
同士のマドバトル)"で､醒儷と本気でぶつ
かり合う事が出来た｡だが､其のアオイの
自流系統は､醒儷を救うには､余りにも
適して居無い(※特殊な状態異常を付与する
トリッキーな技群で在る為)｡

アオイは机の引き出しからノートを1冊
取り出して最後の頁を綺麗に破ると､
磨導数學の授業で使うコンパスと定規を
用いて磨導陣円を描き､中央にはっきりと
"醒儷SOS"と書いて紙飛行機を折り､
芬薗寮の自室の窓を開け､其れを飛ばした｡

アオイ
｢…御願い､新月の聖魂(フェアリー)さん｡
セイランに寄り添って呉れる心優しき
ひとに､此の紙飛行機を届けて…大至急で…｣

一方､

同時刻､芬薗寮の
深津 理久(フカツ リク)の部屋｡

彼は､此の世界でも芬薗寮の寮長を務める､
"翔天界生活に於ける大先輩"で在る
アスマミタラヰ キヨシロウ先輩に､
自室のパソコンを通じて､彼る相談に
乗って貰って居た｡

キヨシロウ
｢深津君､君は､ココロに違和感が有る…
と言ったね｡具体的には何んな感じ
何だい?｣

理久
｢何て言うんやろか｡此の辺りに､
小(ちっ)さいんやけどもずっしりと重い
何かが有って､其れが俺をうずうずさせよる
感じがするんや…妙に落ち着かんから
困っとって｣

キヨシロウ
｢うずうず…ね…｡睡眠に支障を来す位に
気分が高揚する様なら､マドジュエルの
チカラを頼ると良いよ｡深津君の様子を
診るに恐らく悪い兆しでは無いと思う
けど､念の為､明日朝早くに深津君の
主治医"でも"在るミアフィレスさまに､
診て貰おうか｡予約は僕の方で手配して
措くから｣

理久
｢有り難う御座居ます､寮長｡就寝前
やのに､すんまへん｡ヘンテコな相談に
乗って貰(もろ)て｣

キヨシロウ
｢いやいや｡全ての"芬薗寮の男子生徒"が
健全なみいはる學薗生活を送れる様に
務めるのが､僕の役目だからね｡此の位は
御安い御用だよ｣

翌日､ミアフィー'Sの保健室｡

ミアフィレス
｢よく来たのぅ理久｡さぁさ此方に
来るのぢゃ｣

此の特徴的な喋り方をする人物が､
ミアフィー及びミアフィレスさまこと
ミアフィレス=アリア｡

齢13､中等科2年次にして､學生権限職
"魔導療法士"の資格所有者で､學薗・
笨薗(ほんえん)では総合保健委員長を
務める｡

理久やキヨシロウの様な､
"異堕転"と呼ばれる特殊な状態異常を
診るのが専門だが､今回はキヨシロウが
初見で異堕転絡みだか診断出来無かった為､
ミアフィレスに診て貰うのが早いと判断
した模様｡

マイマイ=ホルン
｢どしたのぉフッカツ先輩ぃ｣

ミアフィレスの後輩…通称四天王のひとり､
マイマイ=ホルン｡彼女はシルクの一件から､
如何言う訳だか理久の事を､滅茶苦茶
楽し気にフッカツ先輩と呼んで居る｡

理久
｢いや…マイマイはん…何べんも言うたやん
俺の事をフッカツ先輩言うんは堪忍やぁて｣