ダブルウィンド 2011年01月14日 18:37:59投稿
雑談
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ダブルウィンド No.10628379 2011年01月14日 18:39:52投稿
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ダブルウィンド
No.10628379
2011年01月14日 18:39:52投稿
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「裏切り者だー!捕まえろー!」
一人の少年が暗い廊下を駆け抜けた。たくさんの人々が少年を追いかけた。その人々は足が速かった。しかし、少年ほうが早くそして機転も利いた。少年はかどをまがり、近くの階段を一気に飛び降りた。少年は一瞬微笑むと左右を見渡した。この城の設計図は頭に入っている。あとは左に82メートル。しかし、そこには兵士がふたり。思わぬ誤算だった。後ろからは階段をどたどた降りてくる音がする。少年はこえにだして
「まずいな・・・」
と、つぶやいた。このままじゃつかまる!そうおもった瞬間、冷や汗がながれた。兵士はどちらも長剣を持っている。ぼくは短剣一本・・・勝ち目はない。うしろからは、いたぞー!と、いう声が聞こえる。迷っている暇はない。右に曲がり、3メートル。そして左に曲がる。直線21メートル。そこで左。しかし、そこは行き止まりだった。窓がひとつあるだけだ。窓をのぞいてみる。したはだいたい106メートル。そこには川が流れている。そしてついに人々が少年を追い詰めた。そのなかからいちばん大きな男の人が歩み出た。
「もう、終わりだ。あきらめろ。お前に選択肢はのこっていない・・・。」
大きな男がしずかにそういう。ほかのひとたちは弓を引き絞っている。その矢はピタリと僕の心臓を狙っている。
「あきらめろ」
そう繰り返す。しかし、僕は男の顔をビシッとにらみつけ、一言さけんだ。
「・・・いつだって、選択肢はあるものさ!」
そして僕は、窓の外に身を躍らせた。さっきまで僕のいた部屋は、ざわめいた声でいっぱいだ。落ちながらばくは、くすっと笑った。
さあ、あとは運命にまかせるだけだ。水面がぐんぐんせまってくる。そのあとはあまり覚えていない。覚えているのは水面に体を打ちつけたときの激しい痛みだけだった。
ダブルウィンド
No.10628386
2011年01月14日 18:41:53投稿
引用
う〜ん・・・ここはどこだろう?風が気持ちいいなー・・・
体全体が痛かったが、痛みを我慢しゆっくりと起き上がった。体中がびしょびしょだった。なんでだろう?そばには川が流れている。川かー・・・
「はっ!」
樹に止まっていた鳥がばさばさと飛びたった。思い出した!だけど思い出したことは三つ。一つ目は大事な大事な僕の名前。2つ目はどこかの城から川へ飛び降りたこと。あれ?なんでお城にいたのだろう?だめだ・・・思い出せない。そして、三つ目。それは僕がとてもおなかがすいているということ。その少年・ウィンドはそばにあったラズベリーを一つつかみ、口の中に放り込んだ。甘酸っぱくておいしい。これだけじゃ足りない。上から小鳥のさえずりが聞こえてくる。そうだ、狩をしよう。そうおもった。しかし、あいては木の上・・・歯が立たない。石もあったが今はそんな元気はない。パチンコに使えそうな枝が転がっている。これで落とせるかな?そんな淡い期待はすぐに消えた。第一、ゴムがないじゃないか。ゴムを期待しポケットを探る。あれ?なんかある!それを取り出してみる。やった!ゴムだ!青いゴムだ!だけど・・・なんでこんなところに?わかるのはとても大事なものだということ。
さっそく枝に取り付け、かんたんなパチンコの完成だ。石を取り付け、ゆっくりと狙いを定める。・・・・・・・・ヒュ!どさっ
よし!さっそく火をおこし鳥をその中に突っ込む。そしていいにおいがしてきたら羽をむしり、足にかぶりつく。肉汁がでないのは残念だが、十分おいしい。そんなペースで食べ進めた。食べ終わったときはもう、日が暮れていた。眠かったが追手が来ているかもしれないので眠れない。仕方なく、木にもたれ服装をみてみる。ぼろぼろになった、つる草があんである青色の服。よごれてはいいろになったズボン。こしには、蒼いクリスタルがはまった短剣。これだけだ。この短剣はだれのだろう?そのとき、遠くから声が聞こえた。少年はこしから短剣を抜き、その声がするほうへゆっくり歩いていく。どうせ寝られない。しかも今は夜。人がくるなんておもってもいないだろう。そして声が聞こえたところについた。木に隠れ、そっとのぞいてみる。たいまつが、1、2、3・・・全部で5つだ。そして、そこにいたのは凶悪な「ゴブリン」だった!
ダブルウィンド
No.10628397
2011年01月14日 18:44:44投稿
引用
僕はすばやくゴブリンまでの距離を測る。あいては5匹。3人は眠り、2人が見張り・・・をしているつもりなのだろうか?2人とも同じ方向を向き大音量でしゃべっている。それじゃ寝ている3人もおきちゃうんじゃないか?そんな心配はなさそうだ。3人はこの世のものかとおもうほど大きないびきをかいている。まったく・・・ばかなのかな?
と、そのときたいまつのはしっこにおいてある袋に、目が留まった。黄ばんではいるもののかなり丁寧に扱われているようだ。僕は無性に袋の中身が気になった。袋はだれも見ていない。チャンスだ。僕はこっそり、しかし早く袋に近づいていった。たいまつの隣に足を踏み込む。そのとき、ブチッという音が聞こえた。こんな音は聞こえないだろう。そうおもった。だけどしっかりと聞こえていたみたいだ。2人ともこちらを向きニヤリと笑いせまって来た。足元を見てみると、切れたすすきが赤く光っている。しまった・・・結界だ。ゴブリンはどんどんせまってくる。ゴブリンまで6メートル、袋まで2メートル。僕は袋まで走ってかつぎ、敵と向き合った。いやらしいよだれをたらしている。僕は後ろへ振り返り逃げ出した。卑怯なことはわかっている。だけどこうするしかない。僕は走った。そして川まで走ったところでひざをつき、大きく息をした。なんとか逃げ切った。そして、一息ついたあと、ふくろの中身をのぞきこんだ。そこにはなんと、大地の土とも呼ばれる「紅土」が入っていた。これで魔術をつかったりできる。だけどもう眠い。僕は木の上に上りぐっすりと眠った。夢の中では、見たことあるような女の子がしきりになにかを叫んでいる。よく聞こえない。だけど、一言だけ聞こえた。
「気をつけて・・・」
僕はガバっと起き上がった。服が汗でぐっしょりしている。僕は木からおり、川でぬれた服をきれいに洗い、木にかけた。夢の意味を考えてみる。気をつけて・・・か。そんなことぐらいわかっている。僕のまわりは敵だらけだ。ゴブリンが紅土を取り返そうと追ってくるかもしれない。安全な場所なんてない。今この瞬間にナイフ、矢が飛んで来てもおかしいことは一切ない。そうおもうと、じっとしているのが怖くなった。出発の準備をすばやくし、歩き出す。森を抜け、かるい沼に出た。景色がとてもよくつい、ボーっとしてしまう。(気をつけて・・・)また聞こえた気がした。後ろを振り返る。そこには斧を振り上げた男が立っていた。男はその斧を、僕に向かって振り下ろした!
ダブルウィンド
No.10628405
2011年01月14日 18:46:02投稿
引用
男は僕に向かって斧を振り下ろした!僕は横っ飛びにかわした。しかし、服のすそが斧にあたりつまずいた。男は斧を抜き、またしても斧を振り下ろした。僕は、体制を整えると相手の懐に飛び込み、短剣を突き上げた。だが、やすやすとかわされ男は一歩下がって僕の短剣が届かない場所まで逃げた。僕はすかさず間合いをつめ、短剣で突き放った。この行動には驚いたようだ。短剣は男の利き手すれすれをかすめた。男は、
「がきの癖にやるようだな!ちょっと運動がしたいところだったんだ!」
と叫び、またしても切りかかってきた。さっきのは手を抜いていたようだ気迫もまるで違う。早い。はやくて見えない。
「いくぞっ!」
男がそう叫んだとおもった矢先、斧が飛んできた。伏せてかわす。かわしたぞっ!と、相手を見ようとすると、また別の斧が飛んできた。かわしてもかわしても、斧は飛んでくる。かわしているうちに、ふらふらしてきた。だめだ!しっかりしなくては。しかし、集中はどんどん切れていき、ついにほほを斧がかすめた。血がツーとほほを伝う。斧が止んだ。
「最初の血だな!まだまだいくぞ!」
斧がまた飛んでくる。だんだんリズムが乱れてくる。ズボンが切れる。すねも切れて、血が流れ出した。このままじゃだめだ!なんとかしないと・・・そういえば斧って何本あるんだろう?かわしながら数えてみる。1、2、3。たったの3本か・・・そうか!3本か!いけるぞ!そして斧が真正面から飛んできた。僕はよけずに斧が来るのを待った。
「ばかめ!あきらめたか!お前の負けだ!」
「そうかんたんにあきらめないぞ!負けるものかっ!」
僕は斧のもち手を蹴り上げた。斧はくるくると回りながら池のそばのドロにベチャと音を立てて深く突き刺さった。成功だ!男はあっと声を上げたがもう遅かった。僕はもう1本蹴り上げた。2本目の斧も同じように一本目の斧の隣に仲良く突き刺さった。
「くっ・・・くそガキめー!」
男はわれを忘れ一本の斧で切りかかってくる。さっきまで3本の斧をかわしつづけていた僕にとっては一本の斧ぐらいお安い御用だ。さらに怒り狂っているとなれば。まずかわす。だんだんリズムを取り戻していきながら沼地に誘い込む。おもしろいように誘導できる。いい感じにはまってくれた。ついに男はドロに足を取られ倒れこんだ。僕はすばやく斧を持った手を踏み、斧を池に投げ入れた。女神が出てくるか期待する余裕もできた。男の上に乗り、短剣を首に当てた。僕が、
「どうする?」
と聞くととても悔しそうな小さな声で
「こうさんだ・・・」
と、つぶやいた。
ダブルウィンド
No.10628418
2011年01月14日 18:48:55投稿
引用
「なんでいきなり襲い掛かってきたんだ!」
ぼくはいう。すると男は、
「うちの氏族から、お前を殺すように命令されたんだ。」
「なんでだよ!ぼくがお前たちに迷惑がかかるようなことをしたのか?どうなんだ!」
「うるさい!どなるなよ・・・おれはしらないんだ。ただ、族長にそういわれたんだ。」
この言葉にぼくは驚く。この男がだれかに仕えているなんて・・・考えもしなかった!じゃあその野営地に、連れて行ってもらおう。なにかもらえるかもしれないし、これから先どうすればいいかを教えてくれるかもしれないぞ!
「えーと・・・名前は?」
「ああ、名前ならルーガだ。」
「じゃあ、ルーガ。その族長に合わせてくれない?」
「わかった。いいぞ。」
そして、ぼくたちは野営地に向かって歩き出した。冷たい川をわたり、丘を上り、その前には暗い森があった。
「ここを抜けると野営地があるんだ」
と、ルーガ。ぼくは、
「じゃあ連れて行ってよ。すごく危険そうだけど・・・」
するとルーガは
「はっはっは・・・この森はおれたちの氏族が成人になるための、試練の森なんだ。この森を抜けるのは半日かかる。だが、お前なら大丈夫だろう。」
・ ・・ぼく、まだ13です。気をとりなおしてルーガに聞く。
「つまり・・・一人でこの森を抜けろってこと?」
「まあそういうことだ。せいぜいがんばれよ。じゃあ、森の前まで行くぞ。」
ルーガがぼくの背中を押す。ぼくは、やや引きずられながら森へと出発する。森の前には茶色い黒い影が三つ。ルーガは
「おおっ。氏族の仲間がむかえに来てくれたみたいだぞ。」
しかし、目のいいぼくはしっかり見えていた。
「ルーガ!あれは人じゃない!ゴブリンだ!」
ルーガもはっきり見えたみたいだ。
「氏族の仲間は・・・氏族の仲間はどうなったんだ!」
ルーガはぼくを置いてゴブリンをけちらし、森へ入ってしまった。仕方なく、一人でぼくは森へと踏み込んでいった・・・。
ダブルウィンド
No.10628426
2011年01月14日 18:50:54投稿
引用
暗い。とにかく暗い。入る前と入った後では、昼夜が逆転したようだ。空はうっそうとした木の葉に、覆い尽くされていた。地面は今にも蛇が出てきそうな、草むらだ。怖くなってきた。
「おおぉい。ルーガァー。」
返事は返ってこない。それどころか、不気味にこだまし余計怖くなった。
(大丈夫だろう)ルーガのそういう声が聞こえた気がした。そうだ、大丈夫だ。自分に言い聞かせ歩き出す。
一歩進むごとに、どんどん暗くなる。森に入ったのは、3時ごろ・・・
悪霊が出だすという6時まではおよそ3時間・・・
この森を抜けるのにかかるのは、半日とルーガはいっていた。さすがに無理がある。6時になり悪霊がでてき、ぼくの体に乗り移り気を狂わせる・・・。
大丈夫。そんなことない。そう信じ、歩を進める。
・・・どれくらい歩いただろうか?そのとき、背後からガサッという音が聞こえた。振り返るが、だれもいない。今度は右。そして左。グルル・・・と、鳴き声が聞こえた。
これでわかった。オオカミだ。音からして4匹と考えるのが普通だが、これは頭のいいオオカミ一匹だ。動き回り、いろいろなところから音をだして、たくさんいるように見せかけているのだろう。どこから飛び掛ってくるか。
右だ!今度は左!耳に全神経を集中させる。・・・・・・・・音が消えた。気配もなくなった。だが油断はできない。ぼくは、そーっとこしから短剣を抜く。どこだ・・・どこからだ・・・・・・・。
風が吹いてくる。後ろから少しガサと、音がした。風が教えてくれた。後ろだ。しかし、わかっていない振りをする。・・・・・「ガウッぅ」今だ!うしろを振り返り短剣を突き刺す。ぼくとオオカミは草地を転がった。ぼくはふらふらしながら立ち上がる。短剣は赤く染まっていたが、オオカミは重症ではなさそうだ。キャイ〜ンと鳴きながら逃げていった。
ぼくは赤く染まった短剣を草で拭く。そしてふと思いつき、樹に短剣で目印をつけた。そうだ!こんなことをしている場合じゃない!今は・・・もう6時だ!ぼくは、考えもなしに走り出す。
とりあえず逃げなければ。悪霊につかまってしまう。だんだん、悪霊の悲鳴に似た叫び声が聞こえてきた。もうそこまで来ている。ぼくは振り返り、悪霊と向き合う。
悪霊は樹の陰に隠れ、襲うチャンスを狙っている。ぼくは、短剣を出し振り回す。悪霊が後ずさりする。
(悪霊は銀と紅土が弱点だ・・・)昔、そういわれたような気がする。袋から紅土を一掴みとりだす。おもったとおり、悪霊はさらに後ずさりする。紅土を短剣に塗りたくる。そして、それを悪霊に向けゆっくりと後ずさりをする。悪霊が近づけば短剣を突き出す。そうすれば、悪霊は一歩さがる。ついにぼくは走り出した!悪霊が追いかけてくるが振り返らない。さあ、出口はもうすぐそこだ。
ダブルウィンド
No.10628431
2011年01月14日 18:52:40投稿
引用
少年ウィンドは、追いかけてくる悪霊を振り向きもせずに
森を走り抜けた。
「はあはあ・・・。ここまでくれば大丈夫だろう。」
何とか逃げ切れた。それよりも悪霊の弱点を教えてくれた声は
誰だったのだろう?・・・あぁ・・。頭が痛い・・。記憶を思い出そうとしているからかな?
そうだ。ルーガはまだなのか?
あっ!あそこに火が燃えている!そこが野営地だ!
ウィンドは、走らず呼吸を整えて野営地に向かって歩き出した。
外見は真ん中に大きな柱が立っていて、そこがてっぺんになっている。
その周りは布で覆われている。サーカスのテントみたいだ。
恐る恐る、中へと入ってみる。ここは入り口専用みたいだ。
入ったとたん 後ろでカチッという音が聞こえた。
扉は二段構造だ。中からはペチャクチャ何かを食べる音が聞こえる。
ぼくは念のため、短剣を抜いて飛び込んだ!
・・・・・・・
「ふふふ。まさに、飛んで火に入る夏の虫。だな?」
そこにいたのは、ゴブリンが3〜40匹。数が多い。
「よぉ・・。久しぶりだな。紅土を奪ったぶりだねぇ。
おい!今すぐこいつを殺していいか!!」
「まあまあ。もう少し待て。もう少しで血祭りにあげてやるからよ!」
そんな・・・。ルーガや、氏族のひとたちはどこなんだ!
そんなことを考えながらもゴブリンは、じりじりと輪を狭めてくる。
「おい!ここにいたはずの、氏族の人とルーガはどこだ!」
ぼくは時間稼ぎに聞く。すると、一番体格のいいゴブリンが答えた。
「二つも質問があるようだな!まあ、人生最後の質問になるだろう。
答えてやる。一つ目だが、全て殺した。面倒だったからな。」
「じゃあ、お前たちは何の罪も無い氏族の人たちを、
ためらいも無く殺したのか!」
「あぁ。そのとおりだ。あんな奴ら、殺しても問題ないだろう?」
「ふざけるな!人の命の重みが分からないやつに、
そんなことはいえないだろう!」
「黙れ!リーダーにそんなことがいえるなんて上等だ!」
「放っておけ。どうせ死ぬ運命のやつだ。好きにさせてやれ。
それと二つ目の質問だが、そんなやつ知らん。まぁ、かなり殺したから
その中に入ってるかもしらんがな!」
この言葉にほかのゴブリンたちが笑う。
そうか。特別来た人はいないんだ。なら、ルーガは大丈夫か。よかった。
しかし、何の抵抗もできずに死んでいった氏族の人を思うと、胸が痛くなった。そしてゴブリンたちの笑い声がおさまる。
「さあ。お前。聞きたいことはこれだけか?おれたちもいらいらしてきた。
じゃ、問答無用で行くぜ!野郎ども!」
「おおぉぉ!!」
たくさんのゴブリンが向かってくる。こんなにいれば、歯が立たない。
向かってくる刃や拳を宙に跳び、かわす。あたりそこなった刃などは、
逆方向からきた仲間と、ぶつかった。いもしないぼくに向かって、いろいろな、力がぶつかる。その間に、ぼくは逆がわに移動する。
冷静なリーダーがぼくの居場所を教える
「そこじゃない!反対側だ!」
いっせいに、こちらへ向かってくる。
どうすればいい?もう一度宙に跳び反対側に、着地する。
今度は、すぐに向かってくる。
仕方ない。ぼくは短剣を手に、構える。
先頭のやつに向かって、短剣を振り下ろす。
そいつは吹っ飛び、二〜三人を巻き添えにした。
しかし、大群は止まらない。横へかわし、一気にたくさんのゴブリンの
喉をかき切る。服が真っ赤に染まった。
「貴様!おれの仲間を!」
リーダーが逆上し、それに釣られて残った20匹の仲間も怒る。
疲れがどっと襲ってくる。倒れちゃだめだ!自分を奮い立たせ
向かってくる群れに突っ込む。必死で戦うも、所詮20対1勝ち目は無い。
リーダーが真正面にくる。刃を振り下ろす。
ぼくは短剣で応戦する。鉄がぶつかる音が部屋いっぱい響く。
押され続けている。だけど、負けるわけにはいけない。
氏族の人のためにも!ぼくは、刃をかわし短剣を突き出す。
これはリーダーのわき腹に突き刺さる。短剣についている
蒼いクリスタルが赤に染まる。
「やってしまったみたいだな!!殺してやる!!覚悟しろ!」
全員が怒る狂い、怒号を叫びながら向かってくる。
もうだめだ・・。疲れたよ。ぼくはゆっくり目を閉じる・・・。
「おい!ウィンド!逃げろ!出口はそこだろ?」
聞き覚えのある声が聞こえる。そこにはルーガが立っていた!
「ルーガ!来てくれたんだね!一緒に戦おう!」
「いや。それは出来ない。おれ一人でやる。お前は逃げろ。」
「なんで!?二人そろったんだ!氏族の人達のためにも戦おう!」
「ちがう。これはおれの問題だ。それにお前が戦えば、死ぬことになる。
リーダーは確実にお前を殺そうとするだろ。だから逃げるんだ!」
「ルーガだって死んじゃうかも知れないじゃないか!」
「おれはいいんだ。おれにはもう、大事に思ってくれるやつもいない。
だが、お前には大切に思ってくれている人がいるかもしれないだろ?
その記憶を取り戻さなきゃいけないだろ?だからお前は行け。」
「まだぼくが大事に思っているよ!」
そういうとルーガはやさしく微笑み、いった。
「なら、たった一人の友の中で、大切にしてほしい。お願いだ。
お前は生きろ。生きて、この闇に包まれた世界を直してくれ!
お前ならやれる。大丈夫だ。おれは仇をとる。いけ!ウィンド!」
「ル、ルーガ・・・。」
「最後の語らいは終わったか!?今すぐに殺してやる!」
「行け!ウィンド!いってくれ!」
この言葉を聴いたときにはもう走り出していた。
ぼくを捕まえようとするリーダーとの間にルーガが割り込む。
「こっから先は行かせねえぜ!」
ぼくは扉を抜け、荒れた荒野を走り出した。
冷たい風がほほをとおる。
ぼくは目に、いっぱいに大粒の涙を浮かべて叫んだ。
「ルーガァァ!」
ダブルウィンド
No.10628442
2011年01月14日 18:55:49投稿
引用
夜。ぼくは、何も無い荒地を歩いている。
遠くからだれかが走ってくる。
それは、ルーガだった。
「ルーガ!生きてたんだね!良かったよ!」
こう話しかける。ルーガは何も話さない。
「?ルーガ。どうしたの?」
それでも何も話さない。おかしい。
「ルーガ!どうしちゃったんだよ!」
ぼくは、怒りルーガに体当たりをくらわす。
すると、ルーガの体は見る見る崩れていき何も無くなった。
「ルーガ!?」
するとどこからとも無く声が聞こえた。
地獄の底から聞こえるような恐ろしい声が返ってきた。
「おれは生きてはいない・・・。お前に見捨てられた・・・。
お前がいれば、おれは死ぬことは無かった。お前はおれを見捨てた。
おれが死んだのはお前のせいだ・・・。」
そんな!ぼくは逃げないといったのに!ルーガがかばってくれたのに!
ウィンドに、お前のせいだという声が重くのしかかる。
「お前のせいだ・・・。お前のせいだ・・・。お前のせいだ・・・。」
そんな!
ちがう!ちがう!ちがう!
「そんなわけない!」
はっ!ぼくは町の宿屋で目を覚ます。
ルーガがいなくなってから三日。
同じ夢ばかり見ている。ルーガを探そうとするが、
もしかしたら。という思いがあり、探しにいけなかった。
あれから、東へ半日走ったところに、パルペスという
なかなか大きな町があった。もちろん、傷だらけのぼくは目立つ。
人目を避け、三日間ずっとここにいる。
噂では、西の氏族が全滅したそうだ。
ということがネタとなっていた。
人の死をネタにするのは許せなかった。
だが、今はこの町に楯突くのは危険すぎると感じた。
久々に、外に出てみる。この町は広い。探索してみる価値はありそうだ。
まずは・・・、闘技場だな。
ぼくはゆっくりした足取りで、
闘技場へと向かった・・・。
ダブルウィンド
No.10628470
2011年01月14日 19:06:00投稿
引用
ぼくは闘技場の中に入る。
中には、弓を持っている人と素手の少年がいる。
少年は、撃たれた矢をかわそうともしない。
その矢はまっすぐと、心臓を狙っていた。
ぼくはアッ!と叫びながらも何も出来なかった。
しかし、もう一度見たときには矢は壁に当たりカランッと音を立てて落ちた。
ぼくは興味があってその少年に近づいた。
「やっぱりお前はすごいなぁ。」
「へへ!そんなこと無いよ。生まれつきだから。」
「知ってるって。それは100回は聞いたよ。」
二人は親しげに話し合っている。ぼくは恐る恐る話しかけてみた。
「ねえ!さっきのはなんだったの?飛んできた矢をかわしたことだよ。」
二人はぼくのほうを見てクスクス笑いながら、簡単に答えた。
「時を止めたんだよ!」
「え!?」
「だーかーらー、時を止めたんだよ。」
ぼくは思わず聞き返していた。時を止めるなんてできるのは神ぐらいだ。
嘘だと思われて傷ついてるみたいだった。
「嘘じゃないよ!なんなら勝負してみる?」
こんなことをいわれるとは思いもしなかった。だけど、嬉しかった。
誰かと戦うことで、ルーガをなくした痛みをやわらげられるかと思ったから
「いいよ!時間は10分。ぼくが一回でも攻撃を当てれたらぼくの勝ち。
もしあたらなければ君の勝ち。それでいい?」
「ぜんぜんいいよ。じゃ始めようか。」
闘技場の時計が大きな音を鳴らした。今から10分だ。
ぼくは容赦なく少年に向かう。
少年は全く動かない。ぼくは構わず、短剣を突き出す。
そのとたん、奇妙な感覚を覚えた。
体がふわふわしてるような、それでも動けないような感覚だ。
しかし、その感覚も一瞬で消えた。突き出した短剣の先には何も無かった
後ろを振り向く。そこにはさっきの少年が不敵な笑みを浮かべていた。
その後も同じようなパターンが続き、全くダメージを与えられなかった。
「残り一分!!残り、一分!!」
時計が大きな音を立てる。
まだいける。そうさ。風を使うんだ!
ぼくは、短剣をしまい素手で向かっていった。
少年はまたかわそうとする。いまだ!
「そうはさせないよ!
<サイクロン!>」
突風が少年に襲い掛かる。少年は吹き飛び壁に激突した。
ぼくはすかさず追いかけ、馬乗りになると短剣を抜き
少年の服を軽く裂いた。
「10分間、終わりました!10分間終わりました!」
ダブルウィンド
No.10628474
2011年01月14日 19:06:53投稿
引用
「負けちゃった・・・。」
少年は悲しそうな声で呟いた
「負けちゃったんだから仕方ないよ
ほら。ぼくの能力は嘘だって言いふらしてきなよ」
「そんなつもりじゃなかったんだ。ごめんな
でも分かったよ。君の能力が本当だってことがね」
「信じてくれるの?」
「ああ。もちろんだよ。君の名前は?ぼくはウィンド」
「ぼくの名前はヘブン。ヘブンって言うんだ!」
少年、ヘブンは明るい声で言った。
「でも・・。ヘブンはなんでそんな力があるんだ?」
「ぼくの両親は時占い。妖精(フェアリー)の力を借りて
占いをしてたんだよ。だからこんな力が使えるんだ
両親はもういないけど・・・。」
「!」
「両親は、時を占うことが出来てそれを闇のやつらに狙われたんだ。
力を貸せ、とね。だけど両親は手伝おうとはしなかったんだ。
そのせいで死んじゃったけど。だけどぼくは誇りに思ってるよ。」
「なら・・。その力を受け継いだ君も狙われるんじゃ?」
「大丈夫だよ。ぼくは自分以外の全てを止める。だから、ぼくの力を使いたくても使えない。それに、魔物がせまってるっていうのも聞かないしね」
「ヘブン。落ち着いて聞け。この近くにはゴブリンがわんさかいる
ぼくが傷だらけなのもそのせいだ。油断しないほうがいいよ」
「そんな!?聞いてなかった!じゃ、ぼくは襲われるんだね・・・。
村の人にはなんていおう?みんなぼくを守ろうとする。
じゃあみんな死んじゃう!そんなの嫌だ!
・・・・・・・・・・そうだ!ウィンド!ぼくを連れて行って!
そうすれば安全かもしれないし」
ぼくはあっけにとられた。ぼくについて来るだって!?
そんなの嫌だ!お断りだ!食料だって調達しなきゃいけないし
スピードだって遅くなる。
でも・・・。村の人たちを守りたい!というのは納得できる。
うっ!頭が痛い・・。やっぱりか。関係しているんだ。ぼくの過去と。
「分かった。いいよ。」
「やったぁ!本当?うれし・・・」
「まって。約束があるんだ。
ぼくは剣術に長けているわけでもないし、魔術が使いこなせる、
天才だと思わないで。だから、命の保障は出来ない。いいね?」
「・・・・いいよ!村の人たちが今まで通り生活できるなら。」
「じゃあ。出発は明日の朝4時だ。今のうちに準備をしといてね。」
「分かった!じゃ、明日の朝4時だね!場所はここ?」
「ああ。そうだ。それじゃ。明日ね。」
「うん!ばいばい!ウィンド!」
ぼくは、遠ざかるヘブンの影を見つめていた。
「・・・芯の強い子だな・・・。」
さてと、ぼくも出発の準備をするか・・・。
ダブルウィンド
No.10631481
2011年01月15日 18:51:32投稿
引用
「短い間でしたが、ありがとうございました。」
ぼくは深々と頭を下げる。
すると、宿主さんは慌てて言った
「そんな!お礼を言われるほどのことはしてないよ・・・。
これから、がんばりなよ。」
「ありがとうございます。では。」
ぼくはちょうど0時00分宿を出た。
今夜は野宿だ。この町を一回りしたかったからだ。
ぼくは町全体が見渡せるきれいな丘についた。
ぼくは寝そべり、星を見上げる。
ヘブンについてきてもいいといったが、自分には行くあても無い。
どうすればいいのかな?ぼくは考える。
だけど答えは出なかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はっ!う〜ん・・・。寝てしまったみたいだ
時間はだいだい3時半。そろそろだな。
ぼくはゆっくりと起き上がり、闘技場へ向かった。
闘技場につくと、ヘブンが壁にもたれて眠っていた。
よっぽど嬉しかったんだな。遠足じゃないのに。
ぼくはすっかり眠ったヘブンを担ぎ、静かにこの町を去った。
行き先は決まった。それは
風の行くままに・・・。
ダブルウィンド
No.10636368
2011年01月17日 18:07:02投稿
引用
夜は明け、町の住民が異変に気づくのは遅いことではなかった。
「ヘブンと旅のやつがいないぞー!」
「ヘブン、さらわれたんじゃない?」
「あいつは、いいやつだったんだ。
探そう!まずは宿屋からだ!」
「オォー!」
こんな出来事があり、宿主は困惑していた。
(あの人がそんなことをするなんて・・・)
宿主は空を見上げ、出て行く瞬間のウィンドの顔を思い返していた・・・
そのころ、ウィンドとヘブンは砂漠を横断していた。
二人で話し合い、まずヘブンの故郷に行くことになった。
日は容赦なく照りつけ、二人とも汗まみれだった。
「はぁはぁ・・。まだなのかな?」
「文句は言うな。自分でついてくるって言ったんだろ?
それとも、今から引き返す?」
「そんなことしないよ。大丈夫だよ。」
ムッとした声でヘブンが言い返す。
それにしても・・・暑い。なんて暑いんだろう。
「疲れた?休もうか。」
ヘブンは何も言わずにテントを張り始めたが、時折
「・・・自分が疲れただけの癖に・・・」
や、
「・・・・・別に疲れたなんていって無いのに・・・」
など、ぐちぐち言っていたがテントに入り水を飲むと
すっきりした気分になった。その後、町から持ってきたパンを取り出し
食べた。そしてまた歩き始めた。しかしそれは長くは続かなかった。
「!?」
先を歩いていたぼくは、ぎょっとする。
腰まで砂に埋まり、さらに沈んでゆく。
「ウィンド?どうしたの?」
もはや、あごまで砂に埋まりやっと出た言葉がこれだった
「来ちゃ・・だめ・・だ・・」
「ウィンド!」
ヘブンは駆け寄り、引き上げようとした。
しかし、それは間に合うはずも無くウィンドは沈んでいった。
「!そんな・・」
そんな自分も砂に埋まっていくことも知らずに、ただ呆然としていた。
そして、気がついたときにはもう遅かった。
砂漠から人が消えた。
ダブルウィンド
No.10641521
2011年01月20日 16:58:35投稿
引用
*ウィンド*
ズサササ・・
ザサッ!
「うわぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
ザッボン!
「プファ!はぁはぁ・・・」
ぼくは水面から顔を出した。そしてゆっくり、岸に上がる。
水浸しの体に砂がつく・・・・そう思っていた。
しかし床は固い石が敷き詰められていた。
「?ここは・・・。」
そこはとても広い部屋だった。部屋の向こうには、扉がついていた。
上を見上げると、数十メートルの高さだった。
「どうする?」
声に出して言って見る。荷物は・・・ヘブンだ。
ぼくはガックリと肩を落とした。
仕方ない。先に進もう・・・。
*ヘブン*
ドン!
ズサ・・・・・・
「なんで〜〜〜!!」
ぼくは床に倒れこむ。流砂にはまったら落ちて
そこから砂の滑り台になっていたなんて信じられない。
ウィンドはどこだろう?大丈夫かな?
いや、ウィンドなら大丈夫だろう。
さ、早く合流しなくちゃ!
ゴロンゴロンゴロン・・・・
「うわっと!」
ぼくは横っ飛びにかわす。そして振り返る。
そこには、ぼくたちの荷物だった。
と、言うことは・・・ウィンドは自分の武器しか持ってないのか。
急がなくちゃ!
ぼくは向こう側の扉に向かって走り出した。
ダブルウィンド
No.10641738
2011年01月20日 18:04:20投稿
引用
*ウィンド*
それにしても・・・蒸し暑い。
そりゃ考えてみれば分かるけどとにかく暑い。
ぼくはそんなことを考えながらも、扉の前に立つ。
扉に取っ手は無い。鍵穴を探して見る。
・・・・無いな・・・・
「!」
ぼくは何かの気配に気づき、振り返る。
そこには、全身が砂で出来たゴーレムが立っていた!
*ヘブン*
あー怖いなぁ・・・。
上ではコウモリがたくさん飛んでるし、床には頭蓋骨やネズミがわんさかいる。はぁ・・帰りたいな。
「あれ?行き止まり?」
進んだ先は、扉など無く扉が彫ってあった。
砂の扉を触ってみる。
ガタン!
ハッと振り返ると、後ろは塞がれていた。
どうしたもんか・・・。
ダブルウィンド
No.10643326
2011年01月21日 18:27:18投稿
引用
*ウィンド*
「ゴーレムか・・・。」
ゴーレム いわゆる砂の魔神だ。
弱点は水。水筒があればなぁ。
ああ、のんきなことを考えている場合じゃなかった。
ゴーレムは一歩一歩ゆっくりと歩いてくる。まるでここが、懐かしい古郷かのように。
ぼくは、短剣を抜きゴーレムに突き刺す。しかし、感触は無かった。
前を見るとそこには何もいなかった。
「!やっかいなやつだな・・・。」
ゴーレムは分離して、背後に回っていた。どうやら、水がないと無理そうだ。
*ヘブン*
「行き止まりなんてひどいよ・・・。」
これじゃ後ろに引き返すことも出来ない。
「全く・・。なんなんだよ!」
天井の砂が崩れてくる。
指をパチンと鳴らした。
時が止まった部屋の反対側へ移動する。
そして、指をもう一度鳴らす。
周りの世界に色と音が戻った。
「ウィンド・・・。どうすればいい?」
*ウィンド*
「はぁはぁ・・・。」
水を探して入り口まで戻ったものの、そこには何も無かった。
そりゃそうだ。こんなところに、オアシスが数秒できたことだって
奇跡かもしれない。ぼくは、短剣を使うのをすっかりやめていた。
無駄だから。
「よるなよ!考えてるんだ!<サイクロン!>」
これはとんだ間違いだった。
あたりの砂という砂が巻き上がり、視界がとても悪くなった。
周りが見えない。
「!?」
背後に殺気を感じた。しかし、そのときにはもう遅かった。
ゴーレムの拳が腹に入っていた。ぼくは吹っ飛びそのまま意識を失った。
ダブルウィンド
No.10649087
2011年01月23日 17:27:28投稿
引用
*ウィンド*
「ここは・・・?」
何もかも真っ白な場所。ぼくは死んじゃったのかな?
ぼくは立ち上がる。すると、向こうから誰かが歩いてくる。
女の子みたいだ。歳はぼくより1〜2歳低いぐらい。
始めてみるようだけど・・なにか見覚えあるような気もする。
そして、女の子は話し始めた。
「ねえ。ウィンド。風はなにをつれてくるか知ってる?」
「・・・・知らない。」
そういうと、くすっと笑った。
「知ってるでしょ?風は空気をつれてくるのよ。
一度教えてあげたでしょ?」
「そういえば・・・。」
そんな気がした。名前は・・・思い出せない。
「じゃ、空気の中には何が入ってるか知ってる?これも教えたよね。」
「あぁ覚えてるよ。空気にはいろんなものが混ざってるっていってたよね」
「そう。じゃあ、さっきの状況で使えたはずの物は?」
「・・・・水蒸気。水だ!」
「ビンゴ!それじゃがんばってね。」
「待って!名前を教えて!」
「名前?私の名前は・・・・・・・・。」
だめだ・・・。聞き取れない・・・。
*ヘブン*
「変なのがきたよ・・・。」
ヘブンの目の前には、大きなネズミが。
こんなに狭い場所なのに・・・。
「うっとうしいよ!」
パチン
「くらえ!」
ぼくはネズミの腹を蹴り上げる。
しかし、ネズミは何にも無かったかのように突進してくる。
ダメだ。武器が無きゃ。
パチン
ウィンドの荷物を探る。あった!弓だ。
ぼくは、矢を探す。・・・・・・・・・・無い。
「ウィンドー!準備が悪いって!」
ダブルウィンド
No.10659313
2011年01月27日 18:27:58投稿
引用
*ウィンド*
「ふぅふぅふぅ・・・。」
ぼくは急いで起き上がる。ここは?
見たのはさっきとは全く違う風景だった。
床はぼろぼろの、赤いカーペット。
その先には玉座が。どうやら「王の間」らしい。
ぼくは歩き出す。
ズサササ・・
振り返る。そこにはゴーレムが。砂に溶けていたのか。
タイミングを見計らう。ゴーレムはゆっくりと、こちらへ向かってくる。
焦るな。まだだ・・・。まだだ・・・。ゴーレムが魔法の範囲に入った!
「さっきとは違うんだ!<ウェザーストーム・雨>!」
ゴーレムの周りの空気が渦巻き始める。そこを中心に、風がいろいろな方向へとんだ。
砂で目が見えなくなる。しかし、目を背けはしない。そして、中心からゴーレムの姿はなくなり、そこには男の人が立っていた。
*ヘブン*
「ウィンド!矢が無いっておかしいじゃん!」
時が止まった小部屋でぼくは怒鳴る。しかし、よく考えてみる。
ウィンドは、準備は完璧って言ってた。(そりゃだれだって忘れることはあるさ)心の中で自分が呟く。だけど、実際そうは思ってない。
そのとき、ぼくにある考えを思いついた。
(矢が無いのなら、使わなくてもいいんじゃないか?)
そう思った。自分の直感を信じてみる。
パチン
とめられていた時間が戻った。大ネズミはこちらを向く。
ぼくは弓を構え、矢がない弦をきりきりと絞った。
「一か八か!賭けてみるよ!」
大ネズミはこちらに、真っ直ぐ向かってきた。
ぼくは絞っていた弦を放す。魔力を注ぎ込んで。
一つの光が、大ネズミを貫いた。
大ネズミはよろけてバランスを崩し、壁に激突し大きなトンネルをあけた。
「名づけるなら・・・<シャイニング・アロー>。だね!」
トンネルを覗いてみる。どうやら向こうには人がいるようだ。
次に向かうべき場所はあそこのようだ。
ぼくはネズミを踏んづけ、得意満面で向かっていった。