注意
　
　この作品はフィクションです、実在の人物、団体、等とは一切関係ありません

　グロ注意


　

　荒野に血に塗れた人間が二人。
　どちらも、服が返り血で赤く染まっていた。
　片方は女性で、荒野には似合わない、”元”白いドレス、”現”赤いドレスを着ている。
　もう片方は男性で、これまた荒野に似合わないスーツを着ている、やっぱり返り血でどす黒い赤に染まっていた。
　「×××、その、返り血で赤くなったドレスとっても素敵だよ、やっぱり君は白より赤が似合うよ！」
　男が言いました、すると。
　「そうかな？　×××君？　あと、それを言うなら×××君は血で赤くなったスーツがとっても似合って、いつもより凛々しいよ」
　さり気なく残酷な惚気話、しかし。
　「ばっ化け物！」
　突如、軍服を着た男が現れた。
　「…………」
　男は黙っていた
　「人の皮を被った女狐が、じご——」
　男は銃を取り出し、目にも止まらぬ速さで撃った
　どごぉーん
　重く響く銃声。
　頭が吹き飛び、脳の一部と頭皮が周りに飛んだ。
　「まったく、折角いいムードだったのに、邪魔しやがって」
　ため息混じりに喋る。
　「いいじゃない、×××君」
　そう言いながら、さっきの銃で撃たれた死体に近づく。
　プチプチと飛び散った脳の一部をお構い無しに踏む。
　「でも、今のは駄目ね、さすがの私も怒っちゃうわ」
　そういって、死体を掴んで。
　「これは、埋めましょうか」
　そう女が言うと、男は銃を持ち替える。
　銃身が三角を描くように並んだ1ｍはあろう銃で地面を撃った。
　ばごぉーん
　地面が吹き飛び、少し深い穴が出来た。
　「これ位なら入りそうね」
　女は笑いながら言った。
　「よいしょっ」
　穴にさっきの死体を放り投げ、手榴弾の安全ピンを抜き、穴の中に放り投げる。
　ずどーん
　爆発、頭が無くなった死体はさらに、木っ端微塵になった。
　そして、爆発の衝撃で穴が崩れた。
　「ふぅ、後はこっちの処理だね」
　男と女が居た場所から少し歩いた所に崖がある。
　その下には、体が半分吹き飛んだ死体、爆弾で木っ端微塵になった死体、崖に落ちて潰れた蛙のようになった死体、首を斬られた死体等など様々死体が放置されていた。
　「面倒だから、全部燃やしちゃうか」
　「そうだね」
　懐から、焼痍手榴弾と呼ばれる着弾した物が燃える手榴弾や火炎瓶を出して、それら全部を崖の下にある死体に投げる。
　そして、10000人はあった死体は全て灰に消えた。

廃工場でフードを被り、椅子に座った一人の男とその男の前に立つ男達がいた。
　「おう、おめえが北高の番長か？」
　男達のリーダーと思われる顔に古傷がある男が言った
　「ああ」
　フードを被った男はそう返した
　男の顔は見えないが、声は若く、まだ幼い。
　「お前を潰せば、ここら一帯は俺らのモンになるんだよおおお」
　男はバットで殴ろうとうする。
　がきーん
　金属と金属がぶつかる音。
　フードを被った男は、釘抜きが一緒についているタイプの長い金鎚でバットを受け止めた。
　「お前らさ、こういうハンマーで殴った時どっちが痛いと思う？」
　男が問う。
　「あ？そんなの、叩く方に決まってんだろ！」
　フッとフードを被った男が笑うと。
　「不正解」
　釘を抜く方で殴る。
　「ぐぎゃあ」
　腕の肉に深く食い込む、血がドバッとあふれ出す。
　「パールの様な物で殴るとすっげえ痛いだろ？つまりはこっちも同じって事さ」
　「あ、ああ、ああああ」
　恐怖で引きつる顔。
　「お、お前達、コイツをリンチしろ！」
　振り返ると誰も居ない。　
　「皆逃げたから」
　「ひっ」
　フードから、にやけた口が見える。
　「こっちで殴ったら死ぬから、叩く方で殴るわ」
　「ぎゃああ」
　ごっ
　鈍い音と共に倒れる男。
　そして。
　「さすがっすね、牙さん」
　ぞろぞろと工場の地下から出て来る。
　「牙は辞めろって」
　「だったら名前を教えてくださいよ、牙さん」
　聞きたがる子分
　「だめだ」
　それでも却下する男。
　「なんでですか？」
　フーとため息混じりに息を吐く
　「俺はさ、こっちの世界を制覇したいと思ってる、でも普通の学生としての生活も送りたい、そのためのフードだ。」
　子分は目を輝かせて。
　「すっげえっす！　なんだか、かっこいいっす！」
　フッと笑い
　「じゃあな」
　
　
　そして、町の裏路地で。
　「ふー」
　フードを脱ぐ男。
　不良を纏め上げる人間とは思えない顔の男だった。
　（あっちの生活も悪くないが、学生の生活も悪くない）
　上着を着替えて、町の人ごみの中に消えた。

街中に一人、目立つ女性が居る。
　目を疑う程の美貌と木刀。　
　
　所変わって路地裏。
　「おら、飛べよ、持ってるんだろ」
　カツアゲをする輩。
　「は、はい」
　軽くジャンプして。
　チャリーン、チャリーン。
　「何だよ、持ってンじゃんかよ、さあて、こんな悪いうそつき君にはお仕置きしないとな〜」
　手にメリケンサックをはめて。
　「んじゃ、まずは歯を一本折りま〜ス」
　バキッ
　「んがああ」
　殴りかかろうとした大男の歯が折れた。
　「ひ、ひいいい」
　さっきまでカツアゲされていた男は逃げ出した。
　「て、てめえ！」
　顔を殴ったのは。
　「！？」
　あの、木刀を携えた女だった。
　「お、女か」
　木刀を構える女。
　「へっ！俺が木刀を持っただけの女に負けるかよ！」
　「………」
　女は黙っていた、恐怖からか、それとも、余裕からか。
　「うおおお！」
　大男が殴りかかり、女は木刀を振り下ろすその瞬間。
　バコンッ
　空き缶が男の頭に当たる。
　「あ！？」
　空き缶を投げたのは女と同じくらいの年で、さっきまでフードを被っていた男だった。
　「てめえ！ふざけてんじゃ——」
　全てを言い終える前に、男に殴られ、吹き飛ばされていた。
　「あ、ありがとう」
　女が言う。
　それに対し、男は。
　「どういたしまして」
　と返した。
　
　「君、その制服は北高の制服じゃない？」
　男は聞いた。
　「え、そうだが…」
　男はため息をついて
　「さっきの不良はその北高の不良だよ？君、北高の不良を敵に回したのと同じさ」
　女は黙り込んで、ようやく口を開いたかと思うと。
　「でも、同じ高校だとしても、悪事を働く輩は見逃せん」
　男はニヤリと笑って。
　「ようやく口を聞いてくれた」
　あ、と女は顔を紅潮して。　
　「すまない」
　
　
　「俺の名前は篠崎黒（しのざきくろ）」
　男は自己紹介をした。
　「君は？」
　女は顔を紅潮させながら答えた。
　「私は遠山乙樹（とおやまいつき）よろしく」
　
　
　黒は乙樹を駅まで送って、そのまま家に帰った。
　別れ際にこんな事を言った。
　「なんかあったら、俺に電話しろよ、これ、俺の電話番号」
　「あ、ありがとう」
　何気にナンパしていた。