レッドクン 2011年01月13日 20:17:38投稿
雑談
レス:9
レッドクン No.10627275 2011年01月13日 20:47:06投稿
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レッドクン No.10637955 2011年01月18日 01:44:35投稿
レッドクン No.10641173 2011年01月19日 23:19:12投稿
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レッドクン No.10653792 2011年01月25日 13:51:26投稿
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レッドクン No.10658285 2011年01月27日 01:23:52投稿
レッドクン No.10683912 2011年02月05日 00:41:38投稿
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レッドクン
No.10627275
2011年01月13日 20:47:06投稿
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レッドクン
No.10637955
2011年01月18日 01:44:35投稿
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「ふああ」
まるでカバのような大口を開けてあくびをした俺は、ベッドから起き上がる。
今日は学校のない休日だ。ゆっくりしていられる。が、
ピンポーーン
ベルの音が部屋中に鳴り響く。居留守にしようとしたが、こんな朝早くから俺の部屋に来るやつのことを考えれば意味がない。
ドンドンドンドン!!
『こらぁ〜〜果実ぅ。いないなんて言わせませんからねぇ〜。さっさと開けろぉ〜!』
ほらやっぱりあいつが来た。
「起きてるよドンドンたたくな近所迷惑だろ」
がちゃん
俺はドアノブを下に引いてドアを開けた。
「おはよ〜果実。今日も来たよ〜」
そこには元気良く挨拶してくる俺の婚約者、坂本美和がいた。
「何のようだ」
「何よそれ。人がせっかく朝食を持ってきたのに」
「それがありがたいが、こんな大声を出すと近所迷惑だろ」
「あっとそうだった。こんなことしたら許嫁としての悪評判が近所に〜」
「親が勝手に決めた、な」
あと近所迷惑というのはほかの男子が俺に嫉妬するということだが。
ひとつ文句を言ってやったら「なんだとこの〜」と胸をぽかぽか殴ってきた。
さっき言った通り、こいつとは許婚関係にある。ただし、親が勝手に決めた、だ。
名門・坂本家は、日本が誇る偉人『坂本龍馬』の家系で、こいつはその坂本龍馬の子孫だ。
そして俺も、ある偉人の子孫である一人の人間だ。それは、
「そういえば宮本家は何か言ってた?」
この声は美和の声。そう、宮本家。あの宮本武蔵の子孫が俺である。
「お前が知る必要あんのか?」
「必要あるに決まってんじゃん! 私はあんたの許嫁だよ?」
「親が決めた、な」
「んも〜。またそんなこと言う! それに、親が決めたからこそ、私に言ってくるんだよ?」
「はいはいソウデスネ〜」
「そんなことでごまかして〜。もう!」
美和は若干キレてきたが、無視。
さっきの話の続きだが、なぜ宮本家の俺と、坂本家の美和が結婚せねばならんのかは、若干だが意味深な話になる。
実は宮本家は、その才能を後世に伝えようと宮本家の本家(俺んとこ)と分家で子を作ってきたのだが、最近になって遺伝子に異常がきたし、今では男しか生まれなくなってしまったのだ。
そして坂本家では、逆に女しか産まなくなっていたので、話し合いの結果、俺と美和が結婚してもし男と女の両方をを産んだら契約成立、そのまま達者で暮らせっていうことらしい。
ついでに言っておくが、俺はこのことにもちろん反対だ。なぜなら・・・
「ん、どうしたの? ご飯できてるよ?」
どうして俺は、こんなにチビでガキで男勝りでそれなのに俺よりも家事がうまいやつと結婚しなくてはならんのだ!
俺の許婚であるこいつ坂本美和は、かなりガキっぽい。そのうえこいつの背は普通の小学生と同じぐらいで、肩の位置が俺の腰と同じぐらいなのだ。
何よりも、こいつは男装してもわからないぐらいの性格で、確かに女性の心というのかなんというか、そのようなものはあるんだが、ひとたび男を演じろと言われれば、はっきり言って何かのぼろを出さない限り完璧なまでの男を演じてしまうのだ。
学校では長身の部類に入る俺が、なぜこんなガキ、しかも男勝りな奴と結婚せねばならん!
だが、俺はこいつに対してこんなことを言うことが、できない・・・。なぜなら、
「ほら、あ〜ん」
「あ、あ〜ん」
「うん、良くできました♪」
彼女が微笑み返してきて、俺は顔を赤くしてそっぽを向く。
こいつは、笑うとものすごくかわいい。それはもう、俺がロリコン属性を持たないのに、こいつの笑顔はその属性に引きずり込んでしまうほどにかわいいのだ。
それは、学校でもファンクラブができるほどで、そしてそのファンクラブが俺に対して真正面から殺意を出してくるから怖い。
食事し終わると、美和が話してきた。
「今日、どっか行かない?」
「それはつまりデートの誘いか?」
「そっそうよ! 悪い!?」
いや悪くないが、いきなりツンデレっぽくなったな。
「まあ、予定もないしいいけど?」
「ほ、ほんと?」
「ああ」
「やったあーーーーー!!」
いきなり飛び上がってわーいわーいと子供の用にはしゃぎはじめた。そんなにうれしいのか。
「じゃあ今すぐ戻って支度するから、支度してまっててね!」
といって、部屋を出てしまった。まあすぐ来るとは思えんから、テレビでも見てゆっくりするか。
レッドクン
No.10641173
2011年01月19日 23:19:12投稿
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そこは東京都の品川駅東口。東口のそばにはデパートなどがあるため、ここでデートの待ち合わせなどが多いらしい。ついでに品川はこの侍都市の中心部に当たる。
侍都市とは、いわば小・中・高校が集中的に建設されている場所で、日本ではここ東京を含めて北海道・九州地方があり、世界を含むと名称は国ごとで変わるが、全50圏ほどそのような都市が存在する。そしてこの侍都市での生徒は外出時には必ず帯銃・帯刀を義務図けられており、現に今、俺はシャツの裏にサバイバルナイフとベレッタM92Fを、腰には高周波振動ブレード『SONY‐GB』が仕込んである。
ついでに断っておくが、別に某超能力アニメのように都市とそれ以外が隔離されているわけではない。まあ元ネタはそうかも知れんが。
そしてこの侍都市の正式名は『兵士育成都市』。つまりは兵士を育成する都市がここだ。
なぜ一般的に兵士を育成しなければいけないのは、簡単な話、今この世の中が今すぐにでもそのような人材を必要とするからだ。
現在、この世の中は戦争経済・テロ撲滅経済といわれるシステムが働いている。戦争経済とは、他国に派遣されて依頼人のために戦い、金をもらう。これが、第二次世界大戦に続く『第三次世界大戦』と発展した、通称『ビジネス戦争』。
次のテロ撲滅経済とは、ビジネス戦争の反対派もとい過激派を襲撃し、そのテロを弱体化・消滅させるシステムだ。
ついでに、他国では国自体はこの事に対して一切関与していない。ではいったい誰が関与しているのかというと、武器等を製造する会社(日本ではソニーや大手武器会社クラウンや武器製造中小会社)などがすべて管理している(日本ではこの事に対して積極的に取り組んでいる)。
最後に言うと、なぜ『侍』かと言えば、戦国時代の兵士は武士=侍から来ている。
しばらくすると、美和がきた。ついでにこいつは腰にS&Wシグマを装備。
「ごめ〜ん、待った?」
「いや、そんなに待ってない」
と、俺は普通の受け答えをした。
「でさ、今日の私どうよ?」
美和はくるりと回って質問してきた。なるほど、服装か。
「別にいいんじゃね? 似合うよ」
「はあ、良かった〜。支度したかいがあったね!」
と笑顔で言ってきた。
こいつは、子供のくせにずいぶん大人っぽい服を着る。よほど身長を気にしているらしい。
ついでに言うと今日は8月31日。つまりは夏休みの最後になる。
夏休み中、ずっと学校の任務で出かけてたから、今日ぐらいは遊んでやらんとな。あくまで友達として。
美和がどこに行こうかというので、とりあえず品川駅の西側にあるデパートの「アレア品川」に行くことにした。
レッドクン
No.10647189
2011年01月22日 22:56:16投稿
引用
「くっそぉ、重い・・・」
「ねーねー、次はあっちに行こうよー」
このお子様・・・!
アレア品川で俺に駄々をこねてくる美和は、俺のことも知らず腕を引いてくる。現在俺の手や腕には、無数の紙バッグで埋まっており、何よりも一つ一つが重く、合わさることで重量ははるか上に・・・
もうだめだと悟った俺は、彼女にこう告げる。
「なあ、そろそろ休憩したいんだが・・・」
彼女は「だらしないわねぇ!」と罵倒してきたが、それに賛同したらしく、近くにあった某ファーストフード店に向かった。
「先席とっといて。私は注文してもらってくるから。何がいい?」
「Wチーズバーガーのセットでよろ。ジュースはコカコーラのゼロ」
「りょ〜かい!」
と敬礼ポーズをとった彼女は、すぐにレジに向かった。
すぐに席が見つかった俺は、紙バックをしたに下ろす。ためしにバックを数えてみたが・・・、合計7つ。俺はこんな重いものを7つも持っていたのか。明日は始業式なのに、腕が筋肉痛になるな。ついでに中身は洋服ばっか。
こんなに服をどうするんだよと思ったが、考えるだけでもどうしようもないので、とりあえず机に仰向けになる。
そのとき、
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
爆発音がとどろく。
なんだ、何が起こったんだ!?
外に行ってみると、爆発が起こったと思われる三階から煙がたっている。
「果実!」
美和も俺の元に戻ってきた。
「何が起こったの!?」
「わからん。ちょっと上に行ってくる」
「だめだよ、危ないよ!」
「俺たちは生徒兵だ。現場にいるならいるで、俺たちができることをしなきゃならない。まだ上に人が残ってる。お前は民間人の誘導を頼む」
「待って、果実ぅ!」
俺は彼女の言葉を無視して、人ごみの中を潜り抜け、三階へ向かった。
レッドクン
No.10653792
2011年01月25日 13:51:26投稿
引用
俺は敵に備え、シャツの裏にあったサバイバルナイフを、腰に挿してあったSONY‐GBを抜いた。
SONY‐GB(ギアブレード)とは、超振動により刀身をオーバーヒートさせ、熱溶解でものを切断する代物だ。
「ん?」
近くで金属音がする。これは刀剣……?
とりあえず、斜め前にある柱に隠れよう。
キンッ キンッ ギシッ……
さっきから金属音がしているが、これはどうやら西洋剣同士の音だろう。だとするならば、さっきの爆発は何だ?
すると、
ドガアアアアアアアアン!!!
今度は至近距離から爆発が起こった。
なんだ!? どっちかが爆弾でも使ったのか!? 二人とも剣術使いじゃないのか!?
疑問に思っているとその二人の話し声と思われるものが聞こえた。
「この程度か、クリス」
くりす? 女? 知り合いかこいつら。あとこの声も女の様だが。
とりあえずおとなしく聞くことにした。
「っ……さすがね、ジャンヌ。今のは効いたわ」
「本気も出してもないのにほめるな。なぜ英霊を召喚しない」
えいれい…? なにそれ。幽霊の何かか? あとクリス(とりあえずカタカナ)と呼ばれた女から不自然な名前が出てきた。
ジャンヌ。この名前に何か引っかかる。
「今は必要ないからよ」
「魔法使いの戦いで、か? それは私に対する侮辱だぞ」
魔法使い…! まじで!? そんなのあるの? おいおいおい、いきなりファンタジックだな。わけがわからなくなってきたぞ。
ジャンヌとクリスの話が続く。今度はちょっと顔を出してみるか。
ふんふん。クリスとジャンヌの区別はつかんが、俺のほうにいるのが疲れえてるから、多分目の前にいる茶髪の方はジャンヌだな。てか美人だな、二人とも。
「ピースメーカーに戻れ、クリス。ここらにお前の場所はない」
「いやよ、あんな野蛮なことは許されるわけがない」
「そうか、友人としては残念だが…、お前を殺そう」
そういってジャンヌは、どこからともなく大剣(形状からしてクレイモア)を出し、両手で振り上げる。
「さらばだ」
そして、ジャンヌはクレイモアを振り落とした。
バッ ジギギギギギ………
「!」
「!?」
ジャンヌとクリスは、目を見開いたようだった。
そりゃそうだ。
俺が目の前に出てきたんだからな。
「…誰だ貴様」
目の前にいるジャンヌは驚いたにしては冷静な口調でそう言った。その後ジャンヌは、クレイモアに力を加えようとしたが、やめたようだ。
いまクレイモアは、俺のGBに切断させかかっている。さすがSONY製、鉄でも簡単に切れてしまう。
しばらくして、ジャンヌはクレイモアを引いて後ろに下がった。
「もう一度聞く、貴様は何者だ」
そう言ってジャンヌは、今度は強く聞いてきた。
「宮本果実だ。覚えときな」
俺はそう名乗る。嘘ついてる訳じゃないし。
ついでに聞いておこうか。
「あんたは?」
「ふん。貴様こそ覚えておけ。ジャンヌ・ダルク28世だ」
なるほど、やっぱりな…。
ジャンヌということでピンときていたのだが、確証がないので名乗るまで黙っていた。しかし、やはりそうだったか。
だがジャンヌ・ダルクは1789年のフランス革命後、火刑に処されて死んだのだ。十代で。
本来ならその子孫がいるはずがないのだが、以外にも目の前にいるジャンヌ・ダルクが話してくれた。
「この名前に対して不思議に思うのも仕方なかろう。表では一世は火刑にされて死んだのだからな」
「じゃあ、どういう経歴であんたがいるんだ」
「貴様には信じられん話だ。話すだけ無駄だろう」
「あっそ」
俺はそれ以上追及しない。俺は抜いていたGBを一度鞘に戻し、構えた。
だがジャンヌは切断されかかっているクレイモアを構えない。
一応聞いてみた。
「どうした。構えないのか?」
「ふん。この刃こぼれした剣で戦っても意味はないだろう」
「じゃあどうするのさ」
「こうするのだ」
見るとジャンヌのクレイモアがぐにょぐにょになってまるで液体のようになった。
「!?」
「私はまだ、捕まるわけにはいかんからな」
「なに!?」
「ここで貴様には負傷してもらう」
と言って自称ジャンヌ・ダルク28世は石ころを何個か地面に散りばめて逃げてった。
「おい、まっ———」
と言おうとしたとき、
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!
突如、足元が爆発した。
突然の出来事に、俺は驚いた。
「ぐはっ」
俺は横に吹っ飛ばされた。だがたいしたダメージじゃない。
だがそこにはもう、二人の姿は無かった。
「———逃がしたか…」
すると、
ガタガタガタガタ
「おい、そこにいるのは誰だ!」
と言ってきた。おそらく警備兵だろう。
俺はポケットから学生手帳を取り出し、証明書を開いて手を上げた。
「弾幸崎高校2年C組宮本果実、生徒兵だ。容疑者を拘束しようとしたが失敗、逃げられた」
「了解。詳しくは署のほうで聞く」
「わかった」
と言って、俺はアレア品川からでてそのままパトカーに乗って、署まで送られることになった。
…あれ、なんか忘れてる気がするぞ。
第一話 完
レッドクン
No.10656454
2011年01月26日 18:16:01投稿
引用
あの後警視庁に突撃科(アサルト)の教師の鬼教官、荒城鬼島(男性、独身、日本にヤクザの一派を率いているボス)が現れて、殴られるわ蹴られるわM500で威嚇射撃させるわでとんでもない目にあった。
しかも、クリスといわれる金髪の女にどうやら寮の部屋のカードキーを盗まれたみたいで、唯一合いカードを持っていた美和に借りようとして行ってみたら、溝に一発ボカッと殴られた。思いっきり。「あの重たい荷物は私が運んだんだからね!」と永遠聞かされたが、まあカードは貸してくれたから別にいい。
今日は厄日だな。今日はすぐ部屋に戻って早く寝よう。
俺はドアの機器にカードキーをリードして、ドアを開けて部屋に入った。
すると、
「ん?」
この香り…、最近流行のシャンプーか何かか? そういや美和が俺の腕に抱きついてきたとき、後で嗅いだら腕にこんな匂いがしたしな。
でも美和がいるわけでもないのに、誰なんだろう。
ちょっと考えてみた。
……………………………!!
俺はシャツの裏のホルスターからベレッタを抜いた。
美和がたまに俺のとこでシャワーを浴びるように、俺の風呂のシャンプーと美和の風呂のシャンプーは同じである。まずはこのことに気づくべきだった。
もしかしたら、カードキーを盗んだ金髪の女がここにいるかもしれない。
俺はそれを願いつつ匂いの出所→風呂場に急いだ。
ガラガラッ
「おい、ここで何してん———」
そこには、確かに金髪の女がいた。
だがそこは風呂場。風呂場というのは体を洗う場所であったり、シャワーで汗を流す場所であったり、風呂に入って疲れを癒したりする場所だ。
しかし、そんなところで服を着ながらやる人はいるだろうか。そう、いるわけないのだ。
彼女もその道理に従って、当然のごとく素っ裸だ。
つまり、…え〜っとなんだその、彼女の裸を見てしまったのだ、俺は。
このあと、彼女はどんな反応をするだろうか。
答えは簡単だ。3・2・1
「きゃああああああああああああああああああああ!!!」
ボガッ
彼女に顔面を殴られた。思いっきり。
レッドクン
No.10658285
2011年01月27日 01:23:52投稿
引用
「…別に良いけどさぁ」
現在リビングにて、俺たちは正座して面と面で向かい合っていた。
あの後俺は少し気絶してたらしく、その後彼女は着替えて俺をリビングのソファに寝かせてくれたらしい。
まあ色々あったが、今は沈静している。
「…と、自己紹介が遅れたな。面と向かって言ってはいないが聞いているだろう。宮本果実だ、よろしく」
「はい。私の名前は、多分隠れて盗聴してたとは思いますけど、本名はクリストファー・ジョンソンです。よろしくお願いします。あ、あと借りていたカードキーです。ありがとうございました」
そう言って服からカードを取り出し、俺に差し出した。
なるほど、それでクリスか。っていうか、隠れてたのわかってたのか、と彼女に質問してみたが、
「いえ、瞬間的に出てきたものでして、もしかしたら隣の柱にでも隠れてたのかと思いまして」
たしかに、推理力はあるな。
………で、
「あんたに質問がある」
「あ、はいなんでしょう」
「あんたのこと。あんたと戦っていた女・ジャンヌについてと、最後に…ピースメーカーのことについてだ」
「…」
俺は着替えから学生手帳を取り出しながら、こう言った。
ほんとはしたくないのだが、容疑者が目の前にいる以上、聞き出さなければこっちの命が危ない。
そのとき彼女は、黙っていた。だがこうなることは自覚していたようだ。
俺はアサルトで習った尋問術を使うことにした。
「悪いが、俺がここの生徒兵である以上、現場で暴れてたあんたから事情聴取をしなければならない」
「はい、わかっています」
「なら、まず一つ目。ピースメーカーってのはなんだ。テロの一派か?」
「…答えられません」
「何か理由が? それを言うことを規制してるとか」
「はい」
らしい。残念ながらこのことは諦めよう。こう言った話を言わす前に狙撃で容疑者が殺害されかねんからな。
「次だ、お前と戦っていたジャンヌ・ダルク28世という女は、フランス革命の時に活躍し、後に冤罪で火刑にされたジャンヌ・ダルクの子孫で間違いないんだな」
「はい、間違いありません。ピースメーカー内で行なわれたDNA検査では、確かに一致していました」
ふーん、あいつは本物のジャンヌ・ダルクの子孫なのか。だが引っかかることがひとつある。
「なぜ十代で火刑にされ死んだジャンヌ・ダルクは生きており、子孫がいる」
「さあ、私にも…。予想ですが、多分影武者がそのとき身代わりになったのかとではないかと」
「影武者…ねえ」
多分だが、それは違うと思う。
本人に質問したときそれは理解できんことだと言っていた。影武者ならほとんどの人が可能性はあると指摘するだろう。しかし、それを嘘をついてまで隠すことか?
「最後にひとつ。あんたはだれた」
彼女は少し咳払いをして、こう言った。
「私の性はジョンソン。つまり現アメリカ大統領のドラゴニッチ・ジョンソンの一人娘です。ついでに、母親はイギリス人です」
と言った。
マジか。ビジネス戦争の反対派の中で最も権力を持つ人の娘だぞ。
「じゃああんたがピースメーカーってことは、ジョンソン大統領がリーダーってこと?」
「それは存じ上げられません。ピースメーカーはアメリカではトップシークレットですから」
第一級……!
そんぐらい重要な組織なのか。いったい何の組織なんだろう。
喉が渇いたので冷蔵庫に行くと、
「あの」
と、冷蔵庫から水を取り出して飲んでいる際に、彼女が話しかけてきた。
「ぷはっ。でなに?」
「えっと、いろいろと話をしましたし、できればの話なんですが」
「うん。で、だから何?」
なぜか彼女は頬を赤らめているが、いったい何の用なのだろう。
「数日かくまってください、ここで!」
「ぶっ!!」
まさかのお願いに吹いちまったじゃねえか!
通りで頬を赤らめるわけだ。異性と同棲したことなど一度もないのだろう。
それよりも、俺にとっては命の危険が!
「そ、それは無理だ!」
「お願いします! じゃないと私の命が危険なんです!」
「なら自首しろ!」
「それができないからお願いしてるんです! あなたと一緒じゃないと不安なんです!」
かあああ
よくもまあ男心をくすぐるようなことを言いやがる。赤くなっちまったじゃねえか!
「お願いです!」
「ダメだ!」
「お願い!」
「断る!」
「おねが———」
「ダメに決まってるんだろ!」
「まだ何も言ってません!」
「答えが見えてる!」
「なら———」
何かを考え付いて、目の前のクリスは俺に飛び掛り、俺を押し倒す。
ドテッ
「痛っ!」
そして、俺を押し倒した彼女は頬を赤らめながら。
俺に、キスした。
(〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!)
まさかの出来事に、赤面全快になってしまった。
てかなんでキス!? どして!?
わけがわからん内に、彼女の左手が俺の右手首をつかみ、俺の右手を彼女の左側の胸に当てた。
む、けっこうでかいな。揉み応えも良いし柔らかいし……って変態か俺は!
この状況でも、口づけをしたまんまだ。
(おいおいおいおいおい!)
さらに彼女は、残った右手で俺の下に手を伸ばす、様に見えた。
ま、まさかこの展開は……!
この行動に気づいた俺は、即座に彼女を突き飛ばした。
「きゃっ」
凛とした悲鳴を張り上げるクリストファー。
悪いとは思ったが、俺には今彼女の行動の意味がわからんので、聞いてみた。
「はあ…はあ…。とりあえず聞くけど、何でこんなことしたんだ?」
「だって、こういう事すればあなたが喜ぶと思って」
「人による! と言うか、よくこんな事思いついたな」
「昔ジャンヌに、男にしつこく願っても無理な場合は、多少の羞恥を覚悟で男の言うことは何でも聞けと」
なんだと! あのやろう。友人に対してなんて教育してやがる。
「先言っとくけど、それは間違いだ」
「ええっ!!」
すんげ〜ビックリしてるよ。よほど信じてたらしいな。
「そんな……、私の初めてもあげたのに……」
「……」
うわ〜…、すげえ罪悪感。どうしよう。
「まあとりあえず、数日ならかくまってやるから、それで———」
「それなら、このまま続ければいいだけか」
おいちょっと待て。何でそんな考えになるんだ。ちゃんと了承しただろうが。
すると彼女はいきなり脱ぎ始めるので、俺はあわてて止めに入る。
「おい、やめろ!」
「いえ、脱ぎます! 脱いで処女をあなたに捧げます!」
「どうしてそういう事言うかな! 俺はまだ童貞卒業したくねぇよ!」
「そんなの嘘です! 男性は基本童貞を卒業したいと思っているいんです!」
「だからまだしなくていい!」
「だって私は、あなたのはじめてを…」
暴れながら彼女は泣き出してしまった。
「ああもう、わかったから」
「じゃあ受け止めてくれます?」
「そういう事じゃなくて。俺はもう、ファーストキスは奪われてるんだよ」
「え……だ、誰にですか!?」
なぜ気にする。お前には無関係だろう。
「誰でもいいだろ。まあ誤解の無いようにするなら、俺の婚約者だ」
「い、いるんですか……?」
「ああ、いるよ。親が勝手に決めたやつだけど」
「そ、そうですか」
それを聞いたクリスは、ちょっと残念がっていた。……そんなに処女を捧げたかったのか?
というか、ずいぶん大胆だな。第一印象はおとなしめだと思ってたのに。
俺は話を戻した。
「そういやさっき、ここに泊めてくれって言ったよな」
「ええ、正確にはかくまってくださいと言いましたけど」
「考えたんだけど、うちの高校に来ない?」
「え?」
彼女は驚いている様子だ。
「え、良いんですか? 私がここに入っても」
「別に良いよ。常に一緒にいた方があんたも安心できるだろ?」
「それはそうですけど、転入手続きとかはどうするんですか?」
「そこは俺に任してくれ。親に学校にコネを回すように頼んでみる。あと、明日は始業式だ」
「ええ!? 時間がないじゃないですか!」
「大丈夫大丈夫、何とかなるさ。それに明日は無理だし、半日だからすぐ帰ってこられるよ」
「え、あの、ちょっと!」
と言う彼女も無視して、俺はケータイで親父に電話するのだった。
レッドクン
No.10683912
2011年02月05日 00:41:38投稿
引用
と言っても、始業式の日は出席日数にはカウントされないので、俺にとってはありがたい。
ついでに電話で親父が「ここまでしたんだから、ちゃんと守ってやれよ! 美和ちゃんにもよろしくな!」と言ってきた。……あのやろう、この状況を楽しんでやがる。
ため息とともに教室へ入り席につくと威勢良く話しかける、バサバサ頭の男がきた。
「いよっ宮本! お前は今日このクラスに転入生が来ることを知ってるか?」
このバサバサ頭のこいつは俺の悪友、神崎士郎。このクラスメイトの情報通で、学科は諜報科だ。
兵士レベルのランク付けはB。兵士レベルと言うのは個人の素質・才能の位を指すもので、まあつまりBと言うものにもいろいろあるのだが、士郎の場合は情報には貪欲で、なおかつ公表するものには絶対の狂いが無いこと。そして諜報機具、つまり盗聴器や盗撮器においての知識は並外れたものであり、自ら最新の機器を作り出す技術まで兼ね備えてる。
まあ実際、ここまでの才能を持つ人間は基本レベルはSなのだが、いろいろ問題行動をやらかしてるためBにランク付けされている。
「知らない。で、その情報はどっから入った?」
「職員室の盗聴器から手に入れた。まあ今日のことだし、金にはならんな」
らしい。
これが士郎が問題児扱いされている一つで、職員室に無数の盗聴器を仕掛けている。
もちろん教育員側にもバレているが、学校側にとって表沙汰に知られたくない情報まで所持してるので、退学処分にもあわずに問題児扱いだけされている。
そんなこんなで、後から来た美和もくあわって雑談してると、担任の松浦がやってきた。
「おぬしら、さっさと席に着かんか」
と古臭い日本語を大マジに言って、時代遅れな侍の服装をするこの教師は突撃科の教官である。一般学科では社会を担当。
ホームルームが始まる。
「と言うわけで、今学期からこのクラスに転入生が二人入ってきた。一人は米国からの留学生と、もう一人は大阪総合学からの転入だ」
と言った。
さっきの士郎の情報によると、クリスのほかに転入生がもう一人いるらしい。
ちなみに学校名に「総合学」があるものは、ここ侍都市と同じように兵士を教育する都市を学校まで小型したものだ。この学校はSONYが経営しているが、中小企業は侍都市の土地を買うお金が無いため、各地に転々と営業してるらしい。
で、話は戻す。
「では……おーい入って来い」
と松浦が言うと、前のドアが開き、二人の女性が入ってきた。まあ一人はクリスであるが。
主に男子枠からおおお! と歓声を上げる。
一人目のクリスは、もともとはお嬢様育ちであるため、清楚な顔立ちだが、日本のセーラー服とはミスマッチで可愛く見える。
二人目の人物は、小柄かつ背丈が低い—だいたい美和と同じくらい—なのだが、胸の発育はけっこう良いようだ。
「今日からここのクラスで勉強することになったクリス・フォードと上野楓だ。仲良くしろとは言わんから適当に付き合えよ」
という松浦の本当にどうでも良いかのような台詞を言いながら、ホワイトボードに名前を書いていった。
二人が挨拶をする。
「は、はじめまして。クリス・フォードと申します。皆さんよろしくお願いします!」
クリスは慌て気味に一礼した。再び男子群からかわええ! と歓声が。
ちなみに、彼女の名前は割れてるので、今回から偽名を使うらしい。
次に上野楓さんが挨拶。
「皆さんはじめまして、上野楓です。今後もよろしくお願いしますね」
と一礼してにっこりと笑った。そしたら男子群から以下同文なので省略。
「というわけで朝のSHRは終わる」
といって、松浦はさっさと教室を出て行った。