「がはぁっッッ!!」
十分な間合いであったはずの距離からの相手のパンチがメリメリとプンターの太鼓腹を抉る
肋骨が折れ、胸骨が粉砕し、折れた肋骨が肺に突き刺さった頃であろうか
強烈な踏み込みからの強打で得た推進力がプンターを突き飛ばした
会場に設けられた壁に強く叩きつけられたプンターの意識は朦朧としていた
ここまでか・・・プンターは消えかかる意識を辛うじて繋いで思った
山中プンター32歳、これまで親のスネを齧り、毟り、他人に寄生して生きてきた
そんな男が始めて自分で外に立ち、この大会——天下一無職会——に出ようと思ったのは、非生産で自堕落な毎日を送り、中学高校のクラスメイトが次々と家庭を持っていく中、半角文字列板でオカズを漁り自慰をする自分に嫌気が指したのではなく、通信教育で得た技を実践してみたかったからだった
———こんなのシュミレーションと違う・・
こんな筈ではなかった
いつもならあんな相手2分もあればKOだったであろう
いつもなら、手元のコントローラーのスティックを傾かせれば画面の中の男は吹き飛んでいったのだ
———ここまでか・・・
短く、そして儚い夢だった
プンターは悠然としていた
大量に流れた血がそうさせたかもしれない
今ならきっとzipのパスワードを聞いてくる厨房にも優しく教授する事ができるだろう
消え行く意識の中で最後に掻き集めた命の火を灯し、微かに、誰もがその口の動きには気づかなかっただろうが、プンターは言った・・・
「HDの中身、、消しといてよかっt ドカッ バキッ
プンターは死んだ スイーツ(笑)