「弁護士」になりきれる名作

  • 0 Zup!
全5話構成。第1話はチュートリアル的存在であっという間に終わってしまうが、あとの4話はけっこうなボリュームがある。
それぞれで1話完結だが、第1話〜4話までが大きな1つの話になっている。第5話は追加された新シナリオということもあり、割と外伝的なシナリオ。

探偵パートで証言や証拠品を探し出し、法廷パートで証人の証言の矛盾を暴く。基本的にこの繰り返しなので、いかにも単調作業くさそうで、面白さが伝わりにくいかもしれない。
しかし実際にやってみると、全く単調作業くささがない。探偵パートは、随所に小ネタを挟んでプレイヤーにマンネリを感じさせない配慮が伺える。
本作の醍醐味でもある法廷パートは、矛盾を追及する推理の面白さだけでなく、爽快感まで味わえる。「待った」「異議あり」「くらえ」などで、相手を追い詰める快感がたまらないのだ。

詰まるといつまでも先に進めないことがあるので注意。簡単な見落としをしているだけなのだが、全ての証拠品を揃えないと先に進めないというシステム上、詰まるのが嫌いだとストレスを感じるかもしれない。
第5話では証拠品を「調べる」ことや、ルミノール試薬やアルミ粉を用いた「科学捜査」が可能。DSの機能を無理に使おうとした感じがしなくもないが、けっこう面白いので気にしない者勝ち。
英語表記モードが用意されているのはいいのだが、それよりもサウンドモードや一枚絵を閲覧するモードが先ではないだろうか。BGMが良かっただけに非常に残念。
2周目以降は、既に1度謎が解けているだけにサクサク進めるが、さすがに展開が分かっているだけに、あまり驚きはない。

秀逸なシナリオ・キャラクター性・演出・BGMが、「弁護士」という素材を存分に活かし切っているとても良い作品だった。
どちらかと言うと、コントローラーをガチャガチャ言わせる派手な動きを好む「ゲーム好き」より、小説の展開が気になってしょうがないような「読書家」に向いているゲームかもしれない。かぶりつきでゲームに熱中してしまうだろう。
そしてもう1つ注目すべきは値段。この満足度でこのお値段、良い買い物をしたと言わずにはいられない。
 このレビューにZup!  (0) この内容が気に入ったらZup!(評価)してください