バイオハザード6は普通に面白く、良作だといえます。
舞台が中国ということで、雰囲気はまさしくPSの名作の
クーロンズゲートと同じようなアジアンゴシックというか、
薄汚れて乱雑な混沌とした怪しい雰囲気は最高だといえます。
これまでアジアが舞台になることはバイオでは珍しかったので
とくに印象深いと言っていいです。グラフィックが5より劣ると
いっても、「ホラー作品」の場合はそれが奏功することも
多いのです。あまりに美麗すぎるグラフィックでは逆に怖さを
感じられないということはいくらでもあるわけです。
初代のバイオハザードなんて今では見られたものじゃない
汚い絵のはずですが、現代でも絶賛されていますし「6」の絵は
それとは比較にならないほど綺麗です。そういう意味でも
グラフィックが少し劣っているなどは全く批判する理由には
なりません。
ですからサイレントヒルなどもそうですが初代のほうが遥かに
後の、グラフィックが綺麗になった作品より雰囲気は怖いです。
なぜかというと、おどろおどろしい雰囲気は少し汚い絵のほうが
合っているからです。あまりにハッキリクッキリ超美麗な
グラフィックでは敵はよく見えても、ホラーの雰囲気は返って
損なわれるわけですね。ですからバイオで最高レベルの
グラフィックを誇った「5」が、では怖かったか?と問われれば
それほどでもなくて、むしろそれより汚い「4」のほうが
遥かに怖かったわけです。バイオハザード6ではラクーンの
同窓会というのがテーマの一つでもあり、この豪華な顔ぶれには
バイオファンは唸らざるを得なかったでしょう。
考えてみれば、クリスとレオンという有名な二人がまともに
顔合わせして話をするというのは凄く感慨深いことなんですね。
それでいて、それほど不自然さも感じないところはスタッフの
バイオハザードという作品に対する愛情を感じられます。
本作を「戦争ゲー」といって批判している人もいますが、
それはクリス編のごく一部のみのことであって、ほとんどは
雰囲気も物語りも従来のサバイバルホラーとしてのバイオ
そのものなのです。一部の戦争ゲームっぽい部分をもって、
全体を「バイオじゃない」などと批判することは不当なことです。
というより、BSAAという「対バイオテロ部隊」に所属してる
わけですから戦争っぽい部分もあって当然なんですけどね。
「戦争っぽいからこんなのバイオじゃない」と言う人は、
暗い洋館でゾンビをチマチマと倒すだけがバイオハザードという
事象であると勘違いをしているのではないかと思います。
バイオハザードとは「生物学的な危機」というような意味で、
決して怪しい館でゾンビ相手にショットガンを撃つだけが
バイオハザードではないのだから、戦争っぽかろうと何だろうと
生物学的な危機状態であればバイオハザードなのです。
そんなことを言い出せば、S.T.A.R.Sという特殊部隊という設定の
初代の時点である意味、もう戦争っぽかったのです。
というか、生き残るための戦争ではないのでしょうか?
だからサバイバルホラーであるはずなのに、戦争っぽいのは
嫌だと言うのは、バイオハザードを全く理解してない人の
言うことです。
レオン編ではゾンビも復活していますし、これもファンには
嬉しいところでしょう。ホラーファンに配慮して、薄暗い面が
多いのも好印象です。これを「画面くらすぎ」と批判するのは
お門違いというものでしょう。明るくて見通しの良い画面なら
「怖くない、ホラーじゃない」と文句を言い、暗くて見通しも
悪い画面にすれば「見えない、何してるかわからない」と
文句を言うような人は、ホラーファンともバイオファンとも
名乗る資格はありません。難癖をつけたいだけのクレーマーは
迷惑なだけの存在です。
ジェイクという新キャラも今後の活躍が期待される素晴らしい
キャラクターだったと言っていいでしょう。ウェスカーの息子と
いうこともあり、クリスとの今後の交流も見物です。
今回はバイオ5のような謎解きの乏しいものではなく、
それなりに頭を使わないといけない昔ながらのバイオハザードの
謎解きもあって楽しかったですね。エイダ編の魚の絵合わせも
バイオ1の、研究所の色で番号を解く謎に近く、本当に
バイオハザードをやり込んできた人にはニヤリと出来るもので
良かったと思います。今回のバイオハザード6は、謎解きも、
キャラの豪華さもボリュームも、ストーリーも雰囲気も
第一級のものだったと評価して良いでしょう。表面的にだけ
バイオファンの人は深いところが理解できず、批判に走って
しまうでしょうが、6を隅々まで見てみれば、この作品が
どれほどバイオハザードそのものであるかが分かるはずです。
それが分かるのが本当の「バイオファン」であって、
「ホラーファン」でもあるのでしょうね。
今回は「ストーカー」の怖さもテーマの一つです。
異様にしつこいラスボスも、それを表現してるのです。
これを、たんに「うざい」と片付けてしまうようでは、
ホラーファンとして情けないといわざるを得ないでしょう。
執拗に追われる怖さというものは、人間が本然的に感じる
恐怖なのです。だから都市伝説の「メリーさんの電話」
なども、このうえなく怖い話の代表格でもあるわけです。
人間の持つ狂気と、生物学的な危機が融合してこの上も無い
恐怖を提供しており、久しぶりに気合の入ったホラー作品に
出逢えたと言って良いでしょう。
レオン編の、もはや人間が乗ることもないはずの列車が、
ただ死者を乗せて機械的に暴走しているなどの恐怖なども、
ホラーとして非常に秀逸なものです。こういったものを
一つ一つなどにも、ホラーファンであれば恐怖を感じることが
出来るのです。また特殊部隊の隊長のクリスといっても
決して不死身でもなければ無敵でもない、ほんの少し何かが
狂えば、たちまち倒れてしまう弱い面も持っている、クリスの
そういう人間らしさを感じられた作品という意味でも、この
バイオ6は優れていると言って良いでしょう。
クリスの相棒を務めたピアーズは最高の脇役であり、しかも
主役でもあったかもしれません。バイオシリーズを眺めても
恐らく1、2を争うカッコよさだったでしょう。
過去から現在までの、全てのバイオシリーズのファンを
唸らせるサバイバルホラー決定版がバイオハザード6なのです。