アメリカ空軍「サンダーバーズ」を範としている部分が大きいからです。もともと航空自衛隊はアメリカ空軍の兄弟分と言えるほど強い影響を受けており、ブルーインパルスの創設に関わったパイロットの一人は、アメリカでの訓練においてサンダーバーズの機体に同乗してアクロバットの体験をしたとされています。
その後ブルーインパルスの創設に繋がるわけですが、当然のように強い影響を受けたサンダーバーズの「アメリカン・スタイル」に近い編成が選択されました。(最初は5機編成でした)
ちなみにアメリカン・スタイルとは、4機の編隊とソロ(1機もしくは2機)の編成により、編隊とソロを交互に見せるスタイルのアクロバットです。これに対して「ヨーロピアン・スタイル」と呼ばれる、多数の編隊を中心としたやり方もあります。イギリスのレッド・アローズ、イタリアのフレッチェ・トリコローリ、フランスのパトルイユ・ド・フランスなど、ヨーロッパのチームは8〜10機の大編隊を中心とした科目構成で飛行展示しています。
ブルーインパルスも完全なアメリカン・スタイルというわけではありません。ヨーロピアン・スタイルのように練習機を使っていたり、優雅な編隊を見せるところもヨーロピアン的でもあります。
ただ12機ともなるとアクロバットとしての統制がとりにくく、かえってできることは減るのではないかと思います。チームの規模も大きくなり予算もかかる。10機のフレッチェ・トリコローリは、元々予算不足のイタリア空軍にあって相当な苦労があるようです。6機編成での長い伝統もあるし、今さらスタイルは変えないと思いますよ。今でも科目のバリエーションは非常に多く、その豊富さは世界でもトップクラスですし。