春に舞う並木道、物語はまわりだす
3月―――寒い冬を乗り越えて、ようやくたどり着いた芽生えの季節。幼なじみであり腐れ縁な雄二と一緒の気楽な高校生活も、ひとつの区切りを迎えようとしていた。新しい季節が近づくにつれ、変わらないと思っていた日々が少しずつ変化してくような気がする。
新学期にウチの学校へ入学してくる、幼なじみのこのみ。雄二の姉であり、俺やこのみにとっても姉のようなタマ姉のこと。それだけじゃない。季節と一緒に何かがやって来る、そんな気がするんだ。もうすぐ春がやって来る。去年とは違う春が―――
それは語られなかった もうひとつの季節
9月―――芽生えとともに、なにかが変わると信じていた春が終わり、木々が生い茂る夏を通り過ぎて、ようやくたどり着いた落ち葉の季節。これからもなにひとつ変わることなく 大切な幼なじみや友人たちとの楽しくも、穏やかな日々がずっと続いていくと思っていた。
けれども、あの過ぎ去った春の片隅の小さな思いだの1枚がいま、花となり、実となって、目の前に舞い落ちる。
どうしてあのとき気付かなかったのだろう。心のどこかで待ち焦がれたなにかが、ほんの半歩先にあったことを。
薄く青い色をした木々が秋になり、鮮やかに色づき始めるように、ふたりの想いも形も変わっていく。そんな気がするんだ。もうすぐ秋がまわり始める。新しい出会いの秋が―――












