これは、とある架空の世界の、とある架空の国の、とある架空の街での物語。
ある朝目覚めた少女は、それ以前の記憶をすべて失っていた。
そんな彼女の前に現れたのは、少年の姿をした1人の精霊。
その精霊の導きにより、少女は自分の記憶を取り戻す決意をするのだった。
すると、そばにあった携帯電話が突如鳴り響く。
もちろん、液晶画面に表示されている名前には覚えがない。
携帯に連絡をしてきたのは、名前も顔もわからない“恋人”――。
すべてを失った少女が信用できる相手は誰もいない。
彼女は記憶喪失になっていることを、相手に悟られないよう振る舞うしかないのだった。